岩井半四郎(5世)(読み)いわいはんしろう[ごせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩井半四郎(5世)」の意味・わかりやすい解説

岩井半四郎(5世)
いわいはんしろう[ごせい]

[生]安永5(1776)
[没]弘化4(1847)
歌舞伎俳優。屋号大和屋。4世岩井半四郎の子。俗に杜若 (とじゃく) 半四郎。文化1 (1804) 年5世を襲名美貌色気があり,眼千両といわれ,生世話物によく,鶴屋南北作品で悪婆役を創演。女方ながら座頭をつとめた。

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世界大百科事典(旧版)内の岩井半四郎(5世)の言及

【歌舞伎】より

…だが,南北の才能も,個性の強烈な実力派の役者たちがいてこそ花開いたものである。初世尾上松助(松緑),5世松本幸四郎,5世岩井半四郎,3世坂東三津五郎,7世市川団十郎,3世尾上菊五郎らの実力と個性をよく見きわめ,彼らの芸の魅力を十分に計算した上での作劇の成功が,南北を名作者たらしめたのである。南北の作品の中で,とくに〈色悪〉〈悪婆〉という新しい人間像の典型が確立したことも忘れられない。…

【変装】より

…はじめ,女方の領域は舞踊が中心であったが,しだいにドラマへも進出し,主演するようになった。たとえば,〈眼千両〉といわれた名女方5世岩井半四郎のために4世鶴屋南北(大南北)が書き下ろした《お染の七役》と通称される作品(《お染久松色読販(うきなのよみうり)》)は,半四郎が一人で性や身分や年齢を異にする七役を演ずるように書かれている。文化・文政期には,一人の俳優が男役と女役とをとりまぜた何役にも変わる例がさかんとなり,それら市井の風俗を取り入れた踊りは〈変化(へんげ)舞踊〉と呼ばれた。…

【八百屋お七】より

…浄瑠璃《八百屋お七恋緋桜(こいのひざくら)》(1717),《伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)》(1773)などがあり,歌舞伎では多く曾我の世界に結びつけて脚色され,八百屋お七物の一系統を形成した。《其往昔(そのむかし)恋江戸染》(1809年3月,森田座,福森久助作)で,5世岩井半四郎がお七を演じ,浅葱麻の葉鹿の子の着付を用い,お七の形象が定着した。そのほか河竹黙阿弥にも諸作があり,恋に死ぬ女性として共感を得た。…

※「岩井半四郎(5世)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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