岡寺(読み)おかでら

精選版 日本国語大辞典 「岡寺」の意味・読み・例文・類語

おか‐でら をか‥【岡寺】

奈良県高市郡明日香村岡にある真言宗豊山派の寺、龍蓋寺(りゅうがいじ)の通称。

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デジタル大辞泉 「岡寺」の意味・読み・例文・類語

おか‐でら〔をか‐〕【岡寺】

奈良県高市郡明日香村岡にある真言宗豊山派の寺。山号は東光山。正しくは竜蓋寺天智天皇2年(663)、天皇が義淵岡本宮を与え、寺としたのに始まるという。初めは法相宗西国三十三所第7番札所。義淵僧正像(国宝)などがある。

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日本歴史地名大系 「岡寺」の解説

岡寺
おかでら

[現在地名]明日香村大字岡小字池ノ上

岡集落東方の山腹に位置する。正式には東光山真珠しんじゆ龍蓋りゆうがい寺というが、地名によって岡寺とよばれる。真言宗豊山派。本尊は如意輪観音坐像。天平一二年(七四〇)七月の写経所啓(正倉院文書)に岡寺の寺名がみえるので、当時すでに存在していたことが知られる。創建については「東大寺要録」所引の義淵伝に、

<資料は省略されています>

とあり、「七大寺年表」にもほぼ同文を載せる。護国寺本「諸寺縁起集」に収める龍門寺縁起には天禄元年(九七〇)八月の太政官符を引くが、そのなかで別当晋祥の解状を引いて「件両寺、故義淵僧正、奉為国家隆泰藤氏栄昌、所建立也」とある。これらの記事を総合すると、七世紀末から八世紀前半に僧義淵が国家隆泰・藤原氏栄昌のため、草壁皇子宮地を寺としたのに始まると考えられる。奈良中期には、東大寺写経所と関係をもち、また天平宝字六年(七六二)四月には封五〇戸を施入されている(続日本紀)

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改訂新版 世界大百科事典 「岡寺」の意味・わかりやすい解説

岡寺 (おかでら)

奈良県高市郡明日香村にある真言宗豊山派の寺。もと竜蓋寺ともいい,義淵僧正が草壁皇子の岡宮(岡本宮)を天智天皇より授けられて寺としたと伝えられる。岡寺の名は,前身の宮の名あるいは丘陵地にあった立地によったものらしく,俗称といいうる。奈良時代には多くの仏典を所蔵していた。762年(天平宝字6)に寺封50戸が寄せられ,道鏡も丈六の塑像如意輪観音座像を造立し,現に西国三十三所の一つとして信仰を集めている。吉野郡にあった竜門寺と共に興福寺別当の兼帯の重要寺院とされてきたが,1283年(弘安6)ころに炎上,1472年(文明4)の大風で三重塔が倒壊し,興福寺一乗院により再建が企てられたが完成に至らなかった。江戸時代には25歳の厄除け観音として有名であった。本尊如意輪観音像は日本最大の塑像で,ほかに木心乾漆の義淵僧正像,銅造如意輪観音半跏像,木造仏涅槃(ねはん)像,天人文磚(せん)などを所蔵している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「岡寺」の意味・わかりやすい解説

岡寺
おかでら

奈良県高市(たかいち)郡明日香(あすか)村にある真言宗豊山(ぶざん)派に属する寺。東光山竜蓋寺(りゅうがいじ)と号する。663年(天智天皇2)岡本宮を改めて寺とし、天皇より義淵(ぎえん)僧正が賜った。通称岡寺の名で親しまれている。竜蓋寺の由来は、境内にある小池に義淵が悪竜を法力によって封じ、大石で蓋(ふた)をしたという故事によったもので、義淵開基の五竜寺の一つとされている。当時は法相(ほっそう)宗であったが、久しく荒廃が続き、江戸時代に再興されて現派に属した。本尊如意輪観音坐像(にょいりんかんのんざぞう)(国の重要文化財)は、西国三十三所観音霊場第7番札所として参詣(さんけい)者の信仰を集めている。

[眞柴弘宗]

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百科事典マイペディア 「岡寺」の意味・わかりやすい解説

岡寺【おかでら】

奈良県高市郡明日香村にある真言宗豊山派の寺。東光山竜蓋寺が公称。663年僧正義淵が岡本宮を受けて開基したと伝える。本尊は丈六の如意輪観音(重要文化財)で,日本最大の塑像とされる。また岡本宮の腰瓦であったといわれる天人浮彫【せん】,木心乾漆の義淵僧正座像などが有名。
→関連項目明日香[村]画像【せん】

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デジタル大辞泉プラス 「岡寺」の解説

岡寺

奈良県高市郡明日香村にある真言宗豊山派の寺院、東光山龍蓋寺(りゅうがいじ)の通称。663年、天智天皇から与えられた岡宮(岡本宮)を義淵が寺としたものと伝わる。本尊の如意輪観音坐像、仁王門、書院(いずれも重文)など、多数の文化財を保有。西国三十三所第7番札所。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岡寺」の意味・わかりやすい解説

岡寺
おかでら

奈良県明日香村にある真言宗の寺。天智2 (663) 年,義淵僧正の開基で,竜蓋寺ともいう。本尊は天平仏の『如意輪観音坐像』。平安時代末期の珍しい木造『仏涅槃像』,木心乾漆造の『義淵僧正坐像』 (国宝) を蔵する。

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世界大百科事典(旧版)内の岡寺の言及

【義淵】より

…後に出家して法相(ほつそう)を学び,ついで岡宮を与えられ,寺に改めて竜蓋寺とした。これが岡寺である。また俗に,竜門・竜福など〈竜〉字のつく五箇竜寺を造ったという。…

※「岡寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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