山麓氷河(読み)さんろくひょうが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山麓氷河」の意味・わかりやすい解説

山麓氷河
さんろくひょうが

谷氷河が発達して下流にまで伸び、山地の縁(へり)から平野にまで押し出されたものをさす。河川が山地から平野に出る所で扇状地をつくるように、谷氷河も平野に出ると扇状に広がって山麓部を広く覆う氷河となる。現在では、雪が多く、海岸平野に近いアラスカ海岸山脈などでみられるだけであるが、氷期には、アルプスの周りでも、南ドイツや北イタリアに山麓氷河が広がっていたことが知られている。

[小野有五]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山麓氷河」の意味・わかりやすい解説

山麓氷河
さんろくひょうが
piedmont glacier

谷氷河が山麓にまで達し,いくつか合して広い氷原をつくったもの。高緯度の山岳地域で降水量の多い部分に発達する。アラスカ南東部のマラスピナ氷河をはじめアラスカに好例が多いので,アラスカ型氷河異名もある。

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世界大百科事典(旧版)内の山麓氷河の言及

【氷河】より

…懸垂氷河は急な斜面にへばりついたような小さなもので,そこからさらに下方へ落下して再生氷河(トルキスタン型氷河)がつくられていることもある。氷期に形成されたカール(圏谷)地形のなかに収まっている圏谷氷河,カールを谷頭部に形成しながら谷の下方へ流れ出している谷氷河(アルプス型氷河),谷氷河がいくつか合流して山麓の平野にまで達している山麓氷河(アラスカ型氷河)など規模に応じて名前が付けられている。大陸氷河よりはるかに小規模だが,山地全体が帽子をかぶったように氷河に覆われている例もあり,氷帽氷河と呼ばれる。…

※「山麓氷河」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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