山高帽(読み)やまたかぼう

精選版 日本国語大辞典 「山高帽」の意味・読み・例文・類語

やまたか‐ぼう【山高帽】

日本下層社会(1899)〈横山源之助〉四「頭には山高帽、これに擬髯を鼻下に置かば立派な紳士と見られ候ぞかし」

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デジタル大辞泉 「山高帽」の意味・読み・例文・類語

やまたか‐ぼう【山高帽】

山高帽子」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山高帽」の意味・わかりやすい解説

山高帽
やまたかぼう

イギリス帽子屋ボーラーWilliam Bowlerが1850年に出した堅いフェルト製の帽子原型にした、主として男子用帽子。ブリムが狭く、クラウンは丸くて低い。街着やビジネス用にかぶるほか、正式乗馬用の帽子として用いられていた。イギリスではボーラーbowlerとよばれるが、アメリカではダービーderbyという。12代ダービー伯爵が、自分の創設したダービー競馬場にこれをかぶって現れたことからきている。日本でかぶり始めたのは明治の初期である。明治20年代から、断髪頭に帽子は欠かせないものとして各種の帽子が急に採用されたが、山高帽もフロックコートステッキとともに、紳士の典型的な服装の一部として昭和初期までかぶられた。

[浦上信子]


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改訂新版 世界大百科事典 「山高帽」の意味・わかりやすい解説

山高帽 (やまたかぼう)

フェルトを堅くしてつくったクラウン(頭頂部)の丸い帽子。18世紀半ばイタリアのフィレンツェに,次いで1810年ごろイギリスにも同型のものが現れた。ロンドンではウィリアム・ボーラーという帽子屋の名にちなんで,ボーラーBowlerと呼んだ。アメリカでは19世紀半ば,ダービーderbyと名づけられ,フランスではメロンmelonと称した。ロンドン,パリ,ニューヨークの紳士たちに愛用され,19世紀末に黒が一般の礼装用となって今日まで続いている。日本でも幕末紋付袴姿の武士たちがかぶり,昭和初期までフロックコートやモーニングコートとともに一般にも用いられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山高帽」の意味・わかりやすい解説

山高帽
やまたかぼう

帽子の一種。 19世紀初頭,イギリスの W.ボーラーがつくったところからボーラーハット,あるいはダービーの行われる競馬場から流行したことからダービーハットの呼称もある。堅いフェルトを素材に,頭頂を高く丸くし,縁の両脇を軽く巻上げるようにしたもの。男女とも乗馬や狩猟などの際に用いた。明治になって日本にも流入し,山高帽と呼ばれ,その黒地のものは,紋付,袴の和装,フロックコートやモーニングコートの洋装のいずれの正装にも用いられた。

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百科事典マイペディア 「山高帽」の意味・わかりやすい解説

山高帽【やまたかぼう】

硬いフェルトを用い,ブリムの端を外にそらし,頂上を丸くした男性用の帽子。19世紀中ごろ英国で考案されたといわれ,帽子屋の名にちなみボーラーとも呼ぶ。また米国ではダービー・ハットと呼ばれ,フランスではメロンと呼ばれた。正式と略式の中間の帽子として用いられる。
→関連項目帽子

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