山田奉行(読み)やまだぶぎょう

精選版 日本国語大辞典 「山田奉行」の意味・読み・例文・類語

やまだ‐ぶぎょう ‥ブギャウ【山田奉行】

〘名〙 江戸幕府遠国奉行一つ老中支配に属し、伊勢国三重県山田に駐在して、伊勢神宮警衛および造営奉行役にあたるとともに、伊勢・志摩の天領の支配および鳥羽港の船舶の点検にあたった。伊勢町奉行。〔東職紀聞‐一(古事類苑・官位七四)〕

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デジタル大辞泉 「山田奉行」の意味・読み・例文・類語

やまだ‐ぶぎょう〔‐ブギヤウ〕【山田奉行】

江戸幕府遠国おんごく奉行の一。老中の支配に属し、伊勢国山田に駐在して、伊勢神宮の警衛と遷宮の奉行、伊勢・志摩両国の幕領の支配、鳥羽港の管理などを任務とした。

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百科事典マイペディア 「山田奉行」の意味・わかりやすい解説

山田奉行【やまだぶぎょう】

江戸幕府職名遠国(おんごく)奉行の一つ。伊勢(いせ)国山田におかれ,伊勢町奉行・伊勢山田町奉行・伊勢郡代とも。豊臣秀吉伊勢神宮門前町として発達した山田を直轄領として,奉行を設置。これを引き継ぎ江戸幕府も1603年奉行を任命。伊勢神宮の警衛と遷宮の際の造営奉行,伊勢・志摩(しま)両国の支配,志摩国鳥羽(とば)港での船舶の監察などを任務とし,老中の下で,定員1名。役高1000石,役料1500俵。江戸町奉行に登用された奉行大岡忠相(ただすけ)は著名。
→関連項目宇治

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改訂新版 世界大百科事典 「山田奉行」の意味・わかりやすい解説

山田奉行 (やまだぶぎょう)

江戸幕府の地方行政機関,遠国奉行の一つ。伊勢町奉行,伊勢郡代,伊勢山田町奉行などともいう。伊勢国山田は中世には伊勢神宮の門前町として発展したが,豊臣秀吉はこれを直轄地とし,神宮仕職の神部貞永を奉行に任命して支配にあたらせた。江戸幕府も直轄下に置き,1603年(慶長8)北畠氏の庶流とも,伊勢白子の町人出身とも伝えられる長野友秀を奉行に任じた。後年,大岡忠相がこの山田奉行時代に徳川吉宗に見いだされ,昇進を遂げたことは著名である。職掌は,伊勢神宮の警衛および遷宮の際の造営奉行や例祭の神事奉行,伊勢・志摩両国の支配と訴訟取扱い,また志摩国鳥羽湊で西国船,異国船の監察などを行うことを任とした。29年(寛永6)には白子御船手も兼帯させられた。老中の支配に属し,日光奉行と同格。1000石高で役料は1500俵。配下には与力,同心のほかに伊勢,志摩における海運支配の関係から水主(かこ)も付属された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山田奉行」の意味・わかりやすい解説

山田奉行
やまだぶぎょう

江戸時代、伊勢(いせ)国山田(三重県伊勢市)に置かれた幕府遠国(おんごく)奉行の一つ。老中支配。当時は「ようだぶぎょう」とよんだ。豊臣(とよとみ)秀吉が創置し、幕府に引き継がれた。初期は伊勢町奉行、伊勢郡代(ぐんだい)ともよばれたが、奉行は1ないし2名いた。伊勢神宮の警備と、20年ごとの遷宮の造営奉行、毎年9月16日の神事に際して神事奉行を勤めるほか、普段は神宮領の支配や裁判をつかさどり、鳥羽(とば)港での荷物の検査、外国船に対する警戒なども職務とした。配下に与力(よりき)、同心(どうしん)、水主(かこ)をもち、これらの俸禄(ほうろく)も含め3000石の役料を支給されたが、1696年(元禄9)以降配下の役人には500石別途支給され、奉行は1500俵の役料となる。1738年(元文3)の規定では、1000石高の旗本の役と決まる。

[上野秀治]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「山田奉行」の解説

山田奉行
やまだぶぎょう

伊勢町奉行とも。江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。日光奉行と同格。職掌は伊勢神宮の警衛および造営・修繕時の監督,伊勢・志摩両国の幕領および山田神領の支配,鳥羽湊の防衛と船舶の点検などであった。1603年(慶長8)初設(異説がある)。定員1人(空席や2人のときもあった)。老中支配,芙蓉間(ふようのま)席。江戸中期に役高1000石,役料1500俵。従五位下。下僚に水主,同心75人。1868年(明治元)度会府(わたらいふ)の設置とともに廃止された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山田奉行」の意味・わかりやすい解説

山田奉行
やまだぶぎょう

伊勢町奉行,伊勢山田町奉行ともいう。江戸幕府の遠国奉行。伊勢神宮の警備と遷宮の奉行,伊勢,志摩両国の支配を行い,鳥羽港の警備にあたった。豊臣秀吉のとき設置され,江戸幕府に引継がれた。老中に属し旗本が任じられた。定員1名,1000石高。

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旺文社日本史事典 三訂版 「山田奉行」の解説

山田奉行
やまだぶぎょう

江戸幕府の職名で,伊勢(三重県)山田に置かれた遠国 (おんごく) 奉行
伊勢神宮の警衛と遷宮をつかさどり,鳥羽港の警備や伊勢・志摩両国の訴訟を扱った。定員1名。旗本から任じられ,老中に所属。

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