山椒(読み)さんしょう

精選版 日本国語大辞典 「山椒」の意味・読み・例文・類語

さん‐しょう ‥セウ【山椒】

〘名〙
ミカン科の落葉低木。各地の山地に生え、人家にも植えられる。幹は高さ約三メートルになり、全体に独特の芳香がある。葉は互生し一一~一九個の小葉からなる奇数羽状複葉。各小葉は長さ一~三・五センチメートルの卵形または狭長卵形で縁に鈍い鋸歯(きょし)があり、葉柄の基部の両側に一対のとげがある。雌雄異株。春、小枝の先端に五弁で淡黄緑色の小花を多数密生してつける。果実は球形で表面がざらつき紅熟する。種子黒色。果実は香辛料にされ、漢方蜀椒(しょくしょう)といい、健胃、整腸、回虫駆除薬に用いる。若葉は木の芽和えや木の芽田楽とし、材はすりこぎなどに用いる。漢名、蜀椒。はじかみ。
▼さんしょうの芽 《季・春》
▼さんしょうの花 《季・夏》
▼さんしょうの実 《季・秋》
東寺百合文書‐を・応永二六年(1419)七月二日・食器食物等料足注文「三文 さんせう」
※雑俳・川傍柳(1780‐83)初「腹さんざ喰て山椒の方がゑゑ」
③ (「椒」は山の頂上の意) 山頂をいう。山のいただき。
菅家文草(900頃)五・早春侍内宴、同賦開春楽「縦使春声天地満、不万歳報山椒」 〔漢武帝‐李夫人賦〕
[補注](①について) 初め「ハジカミ」と呼ばれたが、同味のショウガが伝来すると、それを「クレノハジカミ」と呼び、サンショウは「ナルハジカミ」「フサハジカミ」と呼んで区別するようになった。

さん‐しょ【山椒】

〘名〙 「さんしょう(山椒)」の変化した語。〔東寺百合文書‐を・宝徳三年(1451)一〇月七日・上久世庄華蔵庵雑具以下目録〕
[補注]「さんしょ」の子見出し項目は「さんしょう(山椒)」の項にまとめた。

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デジタル大辞泉 「山椒」の意味・読み・例文・類語

さん‐しょう〔‐セウ〕【山×椒】

ミカン科の落葉低木。山地に自生。葉の付け根に一対ずつとげがある。葉は長卵形の小葉からなる羽状複葉。雌雄異株で、春、黄緑色の小花を密生する。実は赤く熟し、黒色の種が現れる。若芽を「木の芽」といい食用に、実を香辛料に、果皮を漢方で健胃薬回虫駆除薬にし、材ですりこぎを作る。はじかみ。 芽=春 花=夏 実=秋》摺鉢すりばちは膝でおさへて―の芽/時彦」

さん‐しょ【山×椒】

さんしょう(山椒)」の音変化。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「山椒」の解説

さんしょう【山椒】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。ミカン科サンショウなどの種子を取り除いた果皮。蜀椒(しょくしょう)ともいう。健胃整腸回虫駆除鎮痛などの作用がある。胃下垂胃アトニー便秘に効く大建中湯(だいけんちゅうとう)神経痛腹痛胃炎に効く当帰湯(とうきとう)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

事典 日本の地域ブランド・名産品 「山椒」の解説

山椒[香辛料]
さんしょう

近畿地方、和歌山県の地域ブランド。
主に有田郡有田川町で生産されている。全国一の生産量を誇る。大粒で香りがよいのが特徴。粉山椒のほか、佃煮・塩漬け加工品としても好評。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「山椒」の解説

山椒 (サンショウ・ハジカミ;サンショ)

学名:Zanthoxylum piperitum
植物。ミカン科の落葉低木,園芸植物,薬用植物

山椒 (ハジカミ)

植物。生薑の古名

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