山崎与次兵衛寿の門松(読み)やまざきよじべえねびきのかどまつ

精選版 日本国語大辞典 「山崎与次兵衛寿の門松」の意味・読み・例文・類語

やまざきよじべえねびきのかどまつ ‥ヨジベヱねびきのかどまつ【山崎与次兵衛寿の門松】

浄瑠璃「寿の門松(ねびきのかどまつ)」の別名題。

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デジタル大辞泉 「山崎与次兵衛寿の門松」の意味・読み・例文・類語

やまざきよじべえねびきのかどまつ〔やまざきヨジベヱねびきのかどまつ〕【山崎与次兵衛寿の門松】

浄瑠璃。世話物。3巻。近松門左衛門作。享保3年(1718)大坂竹本座初演。山崎与次兵衛と遊女吾妻情話に、親子夫婦情愛や、義侠心を織り込んだ物語。寿の門松。

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改訂新版 世界大百科事典 「山崎与次兵衛寿の門松」の意味・わかりやすい解説

山崎与次兵衛寿の門松 (やまざきよじべえねびきのかどまつ)

人形浄瑠璃。世話物。3巻。略称《寿の門松》。近松門左衛門作。1718年(享保3)正月大坂竹本座初演。実説には摂州山本村の坂上与次右衛門を与次兵衛のモデルとする《澪標(みおつくし)》の説と,淀屋辰五郎をモデルとする《伝奇作書》の説と2説がある。全盛の遊女藤屋吾妻を身請けした山崎与次兵衛を歌った歌が《落葉集》の〈古来風流踊歌〉にあり,それに拠っている。新町の遊女吾妻となじみの与次兵衛は,吾妻に恋する貧乏な若者与平と出会い,義兄弟の約束をする。その与平の傷害事件の罪をかぶって,与次兵衛は座敷牢に入れられる。父山崎浄閑は金に対する町人の意地から息子を許さない。廓を脱け出た吾妻や与次兵衛の妻おきくの訴えで,浄閑は吾妻・与次兵衛を逃がしてやる。成功して大坂に戻って来た与平によって吾妻は身請けされ,与次兵衛と彼女は結ばれることになる。中の巻の浄閑の町人道を説く場面が,升落しにかこつけて息子を逃がす愛情深い場面とともに見せ場になっている。一中節の《根曳の門松》は1722年(享保7)大坂嵐座の歌舞伎《山崎与次兵衛半中節》の道行で,《寿の門松》の下の巻の道行を改作して,宮古路豊後掾が語ったものである。与平と与次兵衛の男同士の心意気部分が,《昔米万石通(むかしごめまんごくどおし)》を経て《双蝶々曲輪日記(ふたつちようちようくるわにつき)》などの男達(おとこだて)物の系列に展開してゆき,吾妻与次兵衛物の先駆となっている。
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