精選版 日本国語大辞典 「屯」の意味・読み・例文・類語
たむろ【屯】
〘名〙
① 軍兵の群れ。集合した兵士。軍隊。部隊。また、それがいる場所。軍兵の駐屯する所。陣処。陣営。
※書紀(720)神功即位前(北野本訓)「皇后(きさいのみや)〈略〉三軍(みタムロのいくさ)に令(のりこ)ちて曰(のたま)はく」
※太平記(14C後)三八「敵国に赴て陣を張り旅(タムロ)を調へて、単于と戦を決せんとしけるに」
② 仲間やある職業の者の集団。また、仲間がいつも多く集まる所。ある職業の者が詰める所。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)三「奴等が屯(タムロ)のその場所は」
③ 特に明治時代、巡査がいつも詰めている所。警察署。駐在所。
※歌舞伎・繰返開花婦見月(三人片輪)(1874)序幕「おめえが屯(タムロ)へ此男を連れていかうという訳を」
とん‐・す【屯】
[1] 〘自サ変〙 ある場所に寄り集まる。たむろする。
※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉前「斉武国都回復の吉報を得たりしかば今境上に屯せり」
[2] 〘他サ変〙 多くの兵士をある場所に集める。また、集めて守る。
※駿台雑話(1732)四「遂に兵を頓(トンシ)て曠レ日することをきかず」
とん【屯】
〘名〙 綿の重さをはかる単位。中国では六両、日本では二斤を一屯とする。古訓は「もじ」。
※令義解(718)賦役「糸八両。綿一斤。布二丈六尺。並二丁成二絇屯端一。〈謂。糸十六両曰レ絇也。綿二斤曰レ屯也〉」 〔通典‐食貨典・賦税下〕
ちゅん【屯】
みせ【屯】
〘名〙 古く、重さの単位の一つ。一屯は二斤(はかり)。絹(きぬ)、綿(わた)の計量の単位として用いた。
※書紀(720)天武九年一〇月(北野本訓)「綿四屯(ミセ)、布六端」
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