層雲(俳句雑誌)(読み)そううん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「層雲(俳句雑誌)」の意味・わかりやすい解説

層雲(俳句雑誌)
そううん

俳句雑誌。1911年(明治44)4月、荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)が創刊。当初河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)を後ろ盾に新傾向俳句の研究と普及を目的としたが、ドイツ文学の翻訳・紹介を載せるなど、文芸雑誌の観があった。井泉水は13年(大正2)より「昇る日を待つ間」、翌年より「蛇の言葉」等の俳論を発表。「俳句は印象の詩である」との確信から碧梧桐とも決別し、定型季題を揚棄した「新しい俳句」を唱え、野村朱鱗洞(しゅりんどう)、芹田鳳車(せりたほうしゃ)、小沢武二(たけじ)、青木此君楼(しくんろう)、種田山頭火(さんとうか)、尾崎放哉(ほうさい)らを輩出した。井泉水没(1976)後も継続刊行されたが、92年(平成4)8月号を終刊号として廃刊された。

[瓜生鐵二]

『荻原井泉水著『此の道六十年』(1978・春陽堂書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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