精選版 日本国語大辞典 「届」の意味・読み・例文・類語
とど・く【届】
[1] 〘自カ五(四)〙
※発心集(1216頃か)五「京のたよりごとに文をやれど、とどかずさはりがちにて返事も見ず」
② あるところにまで達する。及ぶ。
③ こちらの心が先方に通じる。転じて、反応が現われる。目的を達する。成功する。
※玉塵抄(1563)四「使にやったこともとどかぬにならうず」
④ 注意や調査などが十分にゆきわたる。行きとどく。間に合う。
※清原宣賢式目抄(1534)端書「助二律令一とは律令にととかぬ処を、格にしるし明にするを助と云也」
⑤ はげむ。
※サントスの御作業(1591)一「ツヨキ ココロヲ モッテ タシカニ コラエ todoqu(トドク)ベシト ヲンイサメナサレ」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒とどける(届)
とど・ける【届】
〘他カ下一〙 とど・く 〘他カ下二〙
① 品物などを先方に持って行く。相手の所に着くようにする。
② 注意して聞いて、受け入れる。聞きとどける。承知する。また、約束などを果たす。
※玉塵抄(1563)四六「女が顧が云ことをきいてととけたぞ」
※日葡辞書(1603‐04)「ヤクソクヲ todoquru(トドクル)〈訳〉約束を実行する」
③ 最後までやり通す。
※日葡辞書(1603‐04)「ゴヲキテヲ タモチ todoquru(トドクル)〈訳〉この掟を固く守り続ける」
とどけ【届】
① 役所・学校・会社の上司などに届け出ること。また、その書類。届書。
※浮世草子・新色五巻書(1698)五「それぞれに預けとどけ厳しく」
② 謝礼、または義理などで贈り物をすること。また、その贈り物。
※浄瑠璃・淀鯉出世滝徳(1709頃)上「新七めが口故に、揚屋のとどけも無沙汰になり」
③ 苦しいことを我慢し通すこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
とず・く とづく【届】
[1] 〘自カ四〙 =とどく(届)(一)
※書紀(720)持統四年一〇月(北野本訓)「衣粮(きもの)無きに縁りて、達(トツク)こと能はざることを憂ふ」
※俳諧・犬子集(1633)二「天下にとつくはながき日足かな〈望一〉」
[2] 〘他カ下二〙 =とどける(届)
※謡曲・柏崎(1430頃)「形見をとづくる音づれは」
[語誌]「とどく」の古形。一般に、トヅクからトドクへの交替は室町時代の中期以後であるといわれている。
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