局部銀河群(読み)キョクブギンガグン(英語表記)local group of galaxies

デジタル大辞泉 「局部銀河群」の意味・読み・例文・類語

きょくぶ‐ぎんがぐん【局部銀河群】

太陽系の属する銀河系付近の直径約500万光年の範囲に分布する、約30個からなる銀河集団マゼラン雲など。

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改訂新版 世界大百科事典 「局部銀河群」の意味・わかりやすい解説

局部銀河群 (きょくぶぎんがぐん)
local group of galaxies

銀河系周辺において,直径約500万光年の範囲の銀河が作っているグループ。局部星雲群とも呼ぶ。確実なメンバーは約20個で,明るい順にアンドロメダ銀河M31(SAb型,実視絶対等級-21.1等),銀河系(SbまたはSbc型,-20等と推定),さんかく座の渦巻銀河M33(SAcd型,-18.9等),大マゼラン銀河(不規則型,-18.5等),小マゼラン銀河(不規則型,-16.8等)とつづく。それらの分布図を見ると,銀河系およびM31のまわりに,それぞれサブグループがあることがわかる。ろ座系など星座名をつけたものは,暗くて小さい,いわゆる矮小(わいしよう)銀河で,それらの絶対等級はすべて-14等よりも暗い。矮小銀河の数は局部銀河群メンバーの半数を占めるが,もっと暗くて見落とされているものがあるに違いない。ただし,それらの総質量は,M31や銀河系に比べて問題にはならないであろう。M31サブグループ中の矮小銀河アンドロメダ座Ⅰ,ⅡおよびⅢの各系は,1970年代初めに実用化された高感度の乾板シュミット望遠鏡に装着して撮影した写真上で検出されたものである。

 以上のほか,やや不確定なメンバーが,20~25個知られており,図の中でかっこをつけて示したのはその一部である。このうちマフェイ1と2は,1968年マフェイP.Maffeiが見つけたもので,どちらもかなり明るい銀河であるのに,銀河面に近いカシオペヤ座にあるため,濃い星間塵に隠されていた。彼は近赤外写真によって,これらを初めて検出したのである。図示したもののほか,70年代後半になって,シュミット望遠鏡による探査の結果,りゅうこつ,いて,ちょうこくしつ,うおの諸座にも,局部群メンバー候補の矮小銀河が発見された。また,速度の測られた銀河のうち,既知の局部銀河群のメンバーの速度に近いもの,すなわち共通の運動をしているものという判定基準によって,メンバー候補にあげられている銀河が,図中に示したものを除いて約10個ある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「局部銀河群」の意味・わかりやすい解説

局部銀河群
きょくぶぎんがぐん

地球を含む天の川銀河(銀河系)が属する銀河群。局所銀河群ともよぶ。半径300万光年の広がりの中にあって約50個ほどの銀河からなる。おもな構成銀河は、天の川銀河、アンドロメダ銀河(M31)、大マゼラン星雲小マゼラン星雲、M33である。それらは大きくアンドロメダ・グループと銀河系グループの二つに分かれる。ほかに矮小(わいしょう)銀河が多数あり、最近の観測技術の向上によりその数は増えつつある。局部銀河群内の銀河は重力的につながりがあり、天の川銀河とアンドロメダ銀河は互いに引き合い、約70億年後には衝突すると思われる。大きな銀河の形成には、周りの矮小銀河を取り込むことが考えられているが、局部銀河群内の比較的近くの矮小銀河の観測により、この説を支持する結果が出始めている。

 また局部銀河群はより大きなおとめ座超銀河団(局部超銀河団を構成する)の端(はし)に位置していることがわかっている。そして局部銀河群もまたおとめ座超銀河団と重力的につながりがあり、局部銀河群全体はおとめ座銀河団の中心へ向かって引き寄せられていると考えられている。

[編集部 2022年12月12日]


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百科事典マイペディア 「局部銀河群」の意味・わかりやすい解説

局部銀河群【きょくぶぎんがぐん】

銀河系の近傍直径500万光年の空間に集まった銀河群。銀河系,大・小マゼラン銀河,アンドロメダ銀河,さんかく座銀河など約20個の銀河が確認され,約20〜25個の不確定な銀河が知られる。局部銀河群の周囲の直径約3億光年内にある銀河の大集団を局部超銀河団という。
→関連項目銀河群

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世界大百科事典(旧版)内の局部銀河群の言及

【銀河】より

…比較的明るい銀河に限ると,おとめ座からおおくま座に連なる帯状の領域に集中が見られ,さらにたどっていくと,この帯は全天を巡って環状に伸びている。これは,おとめ座銀河団を中心に,われわれの銀河系とアンドロメダ銀河を含む局部銀河群をもその一部とする,扁平な銀河の大集合を見ているのであって,超銀河系と呼ばれている。銀河は,明るいものが数個に暗いものがたくさん加わって,銀河群を形成したり,数百から数千の明るいものが集まって銀河団を形成している。…

【銀河群】より

…写真の上で群をなしていると認められたものについて,スペクトルの観測から赤方偏移を求めて距離を出し,見かけだけでなく空間的にも近いものを選んで,真の構成員を決定する。われわれの太陽系の属する銀河系は,アンドロメダ銀河とともに局部銀河群を構成していて,大小のマゼラン銀河のようなわが銀河系の伴銀河や,M32のようなアンドロメダ銀河の伴銀河を含め,約20個の銀河と群をなしている。その直径は約500万光年に及び,所属の不確かな矮小(わいしよう)銀河の存在を考えに入れると,総数は30個を超えるものと推定される。…

※「局部銀河群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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