世界大百科事典 第2版 「尿路感染症」の意味・わかりやすい解説
にょうろかんせんしょう【尿路感染症 urinary tract infection】
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尿路感染症とは、腎臓、
このため、単一の細菌による感染は少なく、大部分は複数菌による「
①細菌尿、
尿
②細胞診
血尿が認められた場合は、慢性に経過する感染症の背景に炎症、結石以外に
③超音波検査
腎臓、膀胱の
④X線、CT、静脈性尿路造影、膀胱鏡検査など
これらの検査は、泌尿器科の専門医に依頼します。
まず尿路の異常を引き起こしている原因が治療可能な場合は、その治療を優先します。
尿道の留置カテーテルが必要な場合は、留置期間をできる限り短くし、閉鎖式の管理を行います。おむつは極力避けることが賢明です。外陰部や外尿道口は常に清潔に保っておくことが大切です。残尿がある場合は尿道カテーテルによる
尿失禁のある場合は一定時間毎に自己排尿を促すよう誘導を行います。寝たきりの場合、
以上によって、尿の停滞を可能な限り回避しておくことが肝要です。
抗生剤は、発熱、腎部疼痛などの症状のない場合は使用すべきでなく、長期間続けることは、メチシリン
無症候性であっても、65歳以上の高齢者の約30%に細菌尿が認められ、一度感染症が成立すると完全治癒は一般に困難とされています、感染症自体の
高崎 優
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
腎臓(じんぞう)、膀胱(ぼうこう)、尿道などの尿路にみられる細菌感染症の総称。この場合、結核菌などによる特異性感染症は一般に含まれず、非特異性細菌感染症のみをさすと考えてよい。また、男性の尿道炎は淋菌(りんきん)性尿道炎など性病としての性格が強いため、尿路感染症とは別に扱われる。したがって、一般に尿路感染症といった場合は、おもに腎盂(じんう)腎炎(代表的な上部尿路感染症)と膀胱炎(代表的な下部尿路感染症)をさすと考えてよい。感染症としては、呼吸器感染症に次いで頻度の高い疾患である。
経過により急性と慢性に、また感染を引き起こす基礎疾患の有無により、基礎疾患のない単純性と、基礎疾患のある複雑性とに分けられるが、一般に単純性尿路感染症は急性の経過をとることが多く、また20~30歳代の女性に多い。一方、複雑性尿路感染症は慢性の経過をとることが多く、基礎疾患としては尿路結石、水腎症、膀胱腫瘍(しゅよう)、膀胱尿管逆流、神経因性膀胱、前立腺(せん)肥大症などが多いため、いずれの年齢にも発症がみられるが、一般には高齢者に多く、また若干男性に多い。
原因菌は急性尿路感染症では大腸菌が多いが、慢性尿路感染症では大腸菌のほかに肺炎桿(かん)菌、変形菌、レイ菌、緑膿(りょくのう)菌、腸球菌など多種にわたる。尿路への感染経路としては血行性感染、リンパ行性感染、周囲臓器からの直接感染などもあるが、大多数は上行性感染であり、この場合の感染源としては尿道、腟(ちつ)、腸内などの常在細菌叢(そう)が重要である。
診断には膿尿と細菌尿の存在が重要な指標となる。一般に、遠心分離機にかけて上澄みを除いたあとに残ったもの(尿沈渣(ちんさ))を顕微鏡検査して、400倍の視野に5個以上の白血球が認められれば膿尿と考え、尿路感染症を疑ってよい。また、尿1ミリリットル中に10万個以上の細菌が認められた場合には細菌尿と考えてよく、尿路感染症と判断される。膿尿と細菌尿から尿路感染症が診断されれば、腎盂腎炎と膀胱炎の鑑別のための部位診断、さらに基礎疾患の有無についての検索も必要となる。
治療は抗生物質などによる化学療法が中心となるが、基礎疾患を有する複雑性尿路感染症では一般に難治であり、また再発をしばしばみるため、基礎疾患に対する治療が感染を根絶するうえで重要である。化学療法剤としてはペニシリン、セファロスポリン、アミノ配糖体系の抗生物質などが繁用される。
[河田幸道]
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