尾上(読み)おのえ

精選版 日本国語大辞典 「尾上」の意味・読み・例文・類語

お‐の‐え をのへ【尾上】

[1] 〘名〙 (「峰(を)の上(うへ)」の意) 山の高い所。山のいただき。峰。
万葉(8C後)二〇・四三〇五「このくれの繁き乎乃倍(ヲノヘ)をほととぎすなきて越ゆなり今し来らしも」
[2] 兵庫県加古川市の加古川河口東岸の地名。尾上神社があり、境内の松は「尾上の松」と呼ばれ、高砂神社の「相生(あいおい)の松」とともに「高砂の松」として知られた。また、桜の名所
古今(905‐914)雑上・九〇八「かくしつつよをやつくさんたかさごのおのへにたてるまつならなくに〈よみ人しらず〉」

おのえ をのへ【尾上】

[一] 姓氏の一つ
[二] 歌舞伎俳優の姓の一つ。初め上方の家系であったが、菊五郎以来江戸の名家となる。

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デジタル大辞泉 「尾上」の意味・読み・例文・類語

おのえ【尾上】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「尾上」姓の人物
尾上菊五郎おのえきくごろう
尾上柴舟おのえさいしゅう
尾上松緑おのえしょうろく
尾上梅幸おのえばいこう
尾上松助おのえまつすけ
尾上松之助おのえまつのすけ

おのえ【尾上】[人名]

浄瑠璃加賀見山旧錦絵かがみやまこきょうのにしきえ」の登場人物。足利家の中老で、つぼね岩藤に草履打ちの侮辱を受けて自害する。

おのえ【尾上】[地名]

兵庫県加古川市の地名。尾上神社があり、境内の松は、高砂たかさごの松、尾上の松、相生あいおいの松ともよばれた。[歌枕]
「―なる松の木末はうちなびき浪の声にぞ風もふきける」〈拾遺・雑上〉

お‐の‐え〔を‐へ〕【尾上】

《「うへ」の意》山の高い所。山の頂。
「越えなやみ我が行きとまる夕山の―を月は今ぞ出づなる」〈風雅・旅〉

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日本歴史地名大系 「尾上」の解説

尾上
おのえ

中世の史料にみえる地名で、現尾上町が遺称。明徳二年(一三九一)九月二八日の西大寺末寺帳(極楽寺文書)には「ヲノヘ」と肩書された成福寺がみえる。嘉吉二年(一四四二)四月六日と文安四年(一四四七)二月二七日、米田よねだ(現高砂市)定願じようがん寺の鎮増は五種行導師として成福寺に赴いているが(「鎮増私聞書」昌楽寺蔵)、成福寺は現存しない。文明一三年(一四八一)九月日の上月満吉所々知行分目録案(上月文書)には「尾上中嶋なかしま半済分」とあり、永正一八年(一五二一)正月一二日の赤松義村判物(報恩寺文書)にも報恩ほうおん寺領として尾上中嶋保が安堵されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾上」の意味・わかりやすい解説

尾上
おのえ

青森県中南部、南津軽郡、津軽平野の南東端にあった旧町名(尾上町(まち))。現在は平川(ひらかわ)市の北西部を占める地域。1937年(昭和12)尾上村と金田村が合併して町制施行。1955年(昭和30)猿賀(さるか)村と合併。2006年(平成18)、南津軽郡平賀(ひらか)町、碇ヶ関(いかりがせき)村と合併して市制施行、平川市となった。弘南(こうなん)鉄道が通じる。昭和初期に弘南鉄道が開通して以来、弘前(ひろさき)市の商圏に入った。リンゴや米を産し、花卉(かき)栽培や庭木栽培も盛んである。猿賀神社は、蝦夷(えぞ)討伐に赴きこの地で討ち死にした上毛野君田道(かみつけののきみたじ)を祀(まつ)る古社。保食神(うけもちのかみ)も併祀(へいし)され、古くから農業、漁業の神として信仰が厚く、北海道などからも参詣(さんけい)人が集まる。また神社近くの盛美園(せいびえん)は20世紀初頭の枯山水(かれさんすい)池泉回遊式庭園で面積1万2000平方メートル。国の名勝に指定されている。

[横山 弘]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尾上」の意味・わかりやすい解説

尾上
おのえ

青森県南部,平川市北西部の旧町域。津軽平野南部にある。 1937年尾上村と金田村が合体して町制。 1955年猿賀村と合体。 2006年平賀町,碇ヶ関村と合体して平川市となった。岩木川右岸にあり,米作とリンゴ栽培がおもな産業であるが,花卉,植木などの園芸農業も普及している。国の名勝に指定されている盛美園,清藤氏書院庭園がある。

尾上
おのえ

兵庫県南部,加古川市の播磨灘にのぞむ地区。旧村名。 1950年4町村との合体により加古川市となる。尾上神社,尾上の鐘,尾上の松で早くから知られたところ。第2次世界大戦後は尾上神社付近は住宅地,その東部の浜の宮神社付近は公園,その南部の旧陸軍飛行場跡は化学繊維工場となり,変容が著しい。

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改訂新版 世界大百科事典 「尾上」の意味・わかりやすい解説

尾上 (おのえ)

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