尤度関数(読み)ゆうどかんすう(英語表記)likelihood function

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尤度関数」の意味・わかりやすい解説

尤度関数
ゆうどかんすう
likelihood function

数理統計学における基礎概念の一つで,単に尤度ともいう。標本の値 (x1x2,…,xn) が与えられたとき,母数 θ の各値のもとで,その値がどの程度起りやすいかを,θ の関数として考えたもの。確率密度関数あるいは確率関数 fθ(x1x2,…,xn) について,x1x2,…,xn を固定して θ の関数 L(θ) として考えれば,尤度関数となる。この値が大であるほど,標本の値がより強く説明されると考えられる。特に maxθL(θ) を実現する は,その標本を最も強く説明する θ の値と考えられる。これを最尤法というが,これを一例として,統計的推論の中心になる概念である (→統計的検定 ) 。

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世界大百科事典(旧版)内の尤度関数の言及

【数理統計学】より

…母集団の分布がパラメーターθを含む密度関数f(x,θ)で表されるとする。観測値x0が得られたとき,そのx0を固定してf(x0,θ)をθの関数とみて,それを最大にするようなθの値を真のθの推定値としようというのがアイデアで,θの関数とみたf(x0,θ)を尤度関数,を最尤推定量という。いくつかの観測値が得られた場合も,同様な考え方で最尤推定値を求めることができる。…

【統計的推定】より

…互いに独立なn個の標本の同時密度は,で与えられる。これを未知パラメーターμ,σ2の関数として見たときに尤度(ゆうど)関数L(μ,σ2)と呼ぶ。一般に尤度関数を最大にする母数の値を最尤推定量という。…

【尤度】より

…つまり,確率密度を観測値で評価した値である。また,これを未知母数の関数とみるとき,とくに尤度関数という。尤度関数の自然対数は対数尤度と呼ぶ。…

※「尤度関数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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