朝日日本歴史人物事典 「尚順」の解説
尚順
生年:尚泰26.4.6(1873.5.2)
近代沖縄の黒幕的な政治家。最後の琉球王尚泰の4男で,松山王子と通称される。男爵に列せられた。首里の守旧派を糾合して沖縄初の新聞『琉球新報』を創刊するなど影響力を強める。政府・県政と妥協し,その範囲内で旧首里士族の権益を図ることに努めた。かたわら銀行,缶詰工場,運輸,商業,農園などの事業にも参画し,経済界でも隠然たる勢力を保持した。沖縄戦の最中,南部に日本軍と共に逃れたが,避難濠の中で衰弱のため死去した。<参考文献>山里永吉編『松山王子尚順遺稿』
(高良倉吉)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報