少年補導(読み)しょうねんほどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「少年補導」の意味・わかりやすい解説

少年補導
しょうねんほどう

非行を犯し、または非行に陥るおそれのある少年を早期に発見して、非行化の程度が進まないようにするための活動。非行は犯罪性の徴表であることもあるが、青年期特有の精神的不安定がもたらす欲求不満のはけ口として行われることが多いため、早期にその芽を摘んで正しい方向へ指導することが必要とされる。そのため、少年警察が中心となって、街頭補導、少年相談、有害環境の浄化などを行っている。

 街頭補導は、盛り場、遊技場、駅、公園など非行の発生しやすい場所で、外勤警察官、少年係の私服警察官、少年補導センターの補導員によって行われる。補導の理由は、犯罪行為であることもあるが、多くは、家出、無断外泊、怠学、怠業、飲酒、喫煙、盛り場徘徊(はいかい)、不純異性交遊などの虞犯(ぐはん)行為または不良行為である。街頭補導は保護手続の端緒にもなりうるが、補導された少年の大部分は、家庭裁判所などへ送致されることなく、非行化の程度や保護者の監護能力に応じて、その場限りの注意・助言に終わり、あるいは保護者・学校などへの連絡、補導員による継続補導を行うなど、警察限りで処分される。少年に対しては非権力的な接し方がなされるよう配慮している。

 少年相談は、問題のある少年の保護者あるいは少年自身の依頼により開始される。継続的に行われることも多く、ケースワーク的活動として助言・指導を行う。最近では、相談を電話で受ける方法も用いられている。環境浄化は、おもに都道府県・市町村の青少年保護育成条例に基づいて、少年にとって有害と認められる出版物・興行・広告などの取締りをする。

 少年補導の一翼を担う少年補導センターは、警察、地方自治体の教育委員会、あるいは民間団体などが設置・運営の主体となり、とくに民間ボランティアが活動の中心になって、非行少年の早期発見、早期補導、またそのための情報資料の収集整備、地域少年問題の調査研究を行う。

[須々木主一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android