小銃(読み)しょうじゅう

精選版 日本国語大辞典 「小銃」の意味・読み・例文・類語

しょう‐じゅう セウ‥【小銃】

〘名〙 一人で携帯し使用することのできる小型の軍用火器。ふつう口径八ミリメートル以下をいう。歩兵銃・騎兵銃(カービン)・狙撃銃自動小銃などの総称。てっぽう。
※漂荒紀事(1848‐50頃)六「我急に小銃を放ち導火すれば、忽材上の火薬線に移りて、激発閃迸」

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デジタル大辞泉 「小銃」の意味・読み・例文・類語

しょう‐じゅう〔セウ‐〕【小銃】

個人携帯用の小火器。歩兵銃・騎銃自動小銃などの総称。
[類語]鉄砲銃器飛び道具ピストル短銃拳銃はじき機関銃機関砲ライフル猟銃火縄銃散弾銃空気銃大砲迫撃砲ショットガンエアガンマシンガンカービン銃バズーカ砲ライフル銃ガス銃ガトリング銃カラシニコフ騎銃救難銃軽機関銃ゲベール銃高圧電流銃三八式歩兵銃実銃自動拳銃自動小銃重機関銃準空気銃水中銃スタンガンスナイドル銃短機関銃単身銃単発銃鳥銃二連銃村田銃モーゼル銃連発銃遊戯銃玩具銃模型銃光線銃水鉄砲豆鉄砲紙鉄砲威し鉄砲空鉄砲剣付き鉄砲竹鉄砲ふところ鉄砲山吹鉄砲トイガンモデルガンエアソフトガンエアライフルビームライフル

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改訂新版 世界大百科事典 「小銃」の意味・わかりやすい解説

小銃 (しょうじゅう)

近距離における対人用の個人携行火器。ライフルrifleもしくはライフル銃と通称されることがある。

小銃は拳銃,大砲などと同様,一端を閉じた管の中で火薬(これを発射薬という)を爆発させ,そのときに発生するガス圧で弾丸を発射させるものである。現代の小銃は,弾丸に対し所要の初速と方向を与えて発射し,かつ自動的,半自動的に作動を行わせるための銃の基本的部分である銃身と,銃尾機構,および小銃の機能,操作性,安全性等を十分果たすために必要な安全装置,照準装置,支持装置,給・送弾装置,消炎装置,制退装置などからなる。銃身は弾丸に対し必要な初速と旋速,方向を付与するためのものである。銃腔には通常,クロムめっきを施してあり,めっき層の耐摩耗性,耐食性を利用して銃身命数を延長させている。薬室は緊塞具であり,薬莢(やつきよう)の位置する部分である。形状は薬莢の装塡,抽出を容易にするため,薬莢の形状に準じて緩傾斜の円錐形を有するものが多い。腔線は,弾丸飛行時の弾軸の安定を図り,つねに弾丸が弾道切線上に接して飛行しうるように弾丸に旋動を与えるためのものである。銃尾機構は銃身を保持するとともに,送弾,装塡,閉鎖,撃発等の行程を自動的,半自動的,または手動で行うためのものであり,尾筒,遊底部,引金,逆鉤(げきこう),撃鉄,復座ばね,作動装置(ピストン,ガス筒等)などからなる。尾筒はその内部に遊底部,復座ばね,作動装置を収容し,かつこれらに運動を行わせるものであり,遊底室を形成する。遊底は射撃に必要な弾薬の装塡,閉鎖,撃発,抽筒の諸作用を行う。引金,逆鉤,撃鉄は撃発準備から撃発への作動を行う装置であり,遊底など後座体の後座エネルギーを利用して撃鉄を後退または回転させて,ばねを圧縮する。後座体が後座を終了しふたたび前進するとき,後方にばねを圧縮した状態で撃鉄を鉤止めする装置が逆鉤であり,撃発のためこの鉤止めを解く装置が引金である。復座ばねは,後座体が燃焼ガスのエネルギーを受けて後座するとき,そのエネルギーを吸収しつつ圧縮されてエネルギーを蓄積し,後座運動が終わるとこのエネルギーにより伸長し後座体を撃発位置に復帰させる。作動装置は遊底の開放,空薬莢の抽筒・放出,送弾,装塡など一連の動作を自動的に行わせるためのエネルギー伝達装置である。

 安全装置は,弾薬を装塡した状態で行動する際,思わぬ時期に発火することのないようにする装置である。照準装置は,弾丸を目標に命中させるため所定の方向と射角を銃に与えるものである。支持装置は,運動および射撃間の銃の取扱い操作を容易にし,かつ射撃時の安定を保ち,命中精度の向上を図るものであり,これには銃床,握把,負いひも,二脚架などがある。給弾装置は銃に弾薬を供給するもので,これにはクリップ式,弾倉式などがある。送弾装置は,供給された弾薬を1発ずつ遊底の前進路に送るものである。消炎器は銃口炎を敵から秘匿するためのものであり,制退器は射撃時における銃の反動を少なくするための装置である。

 弾丸の発射は次のような過程で行われる。遊底が前進して弾薬を薬室に装塡し,引金を引くと撃針が雷管を突いて発射薬が燃焼し,ガスは弾丸を発射させる。同時にガスの一部がピストンの頭部に当たって遊底を後退させ,空薬莢を薬室から引き出し外部に放出する。遊底の後退運動が終了すると,圧縮された復座ばねの力によって前進運動が始まり,次弾発射の準備を行う(図1)。

小銃は,弾丸の装塡方法,火薬への点火方法,銃腔の形態のほか,用途の面から分類することができる。

(1)装塡方法 火薬と弾丸を銃口から込める前装銃と,銃身の後部から込める後装銃とに分けられる。後者の方が装塡が簡易であるが,技術的な問題のため実用化は19世紀半ば以降となった。さらに装塡が自動的に行われるかどうかによって以下のように分類される。(a)単発銃 1回ごとに弾薬を装塡するもの。(b)連発銃 前もって弾薬を数発装塡しておき,発射ごとに槓桿(こうかん)などの操作で弾薬が装塡されるもの。(c)自動銃 発射ごとに次弾が自動的に装塡されるもの。なお,引金を引いていると連続して発射できるものを完全自動銃(もしくは自動銃)といい,これに対し射撃の度に引金を引くものを半自動銃という。現在の小銃の大半はレバーなどにより,完全自動銃と半自動銃を選択できるようになっている。このほか単発銃を束ねて多銃身とし,連続発射を可能にしたものには猟銃などがある。

(2)点火方法 初期の小銃においては,目標に照準を合わせたのち銃を固定し,手で持った火縄で火薬に点火したが,目標に照準を合わせながら発射するために点火装置が開発された。その代表的なものを登場の順にあげれば以下のようになる。(a)火縄式match-lock 火のついた火縄を火皿上の点火薬に接触させるもの。(b)歯車式wheel-lock 引金の操作により歯車を回転させ,これと黄鉄鉱などを接触させてこの火花で火皿上の点火薬に点火するもの。(c)火打石式flint-lock 引金を引くと火打石が当り金をこすり,その火花で点火薬に着火させるもの。以上の形式では点火薬の火は小孔を伝わり発射薬に着火される。(d)雷管式percussion-lock 引金を引くと撃鉄が雷管を強打して中の火薬を発火させ,それにより発射薬に着火させるもの。のちに,弾丸,発射薬,雷管をひとまとめにした実包が発明され,後装銃に使用されることとなった(図2)。

(3)銃腔の形態 初期の小銃では銃腔は滑らかなものであった(この形式の銃を滑腔銃という)。その後,銃腔にらせん状に溝(腔線という)を刻み,弾丸に回転を与え弾道を安定させる施条銃(腔線銃)が現れた。

(4)用途による分類 小銃には特殊なものとして,(a)銃身が短く馬上で使いやすくした騎兵銃(カービン銃),(b)遠距離の射撃精度を向上させた狙撃銃などがある。なお,かつては滑腔式の軍用長身銃をマスケット銃musketと呼び,これに対し腔線(ライフル)を施した銃をライフルと呼んで区別していたが,すべてが施条銃となった今日,小銃をライフルもしくはライフル銃と呼ぶことが多い。

小銃は13世紀モンゴル軍がヨーロッパ遠征に使用し,ヨーロッパではベルギー人が最初に使用したと伝えられる。小銃は大砲を小型化することによって逐次開発され,火砲に約50年遅れて発達した。ヨーロッパにおける初期の小銃は,14世紀末に考案されたhand cannonを小型化したhand gun(手銃)として15世紀に発明され,15世紀末には全ヨーロッパに普及し,フランスのシャルル8世は銃騎隊や銃兵隊を組織した。この銃の操作は銃手と運搬手の2名で行い,弾丸は球形鉛弾で口径12~20mm前後,引金や照準器はなく,火縄で直接点火し発射する方式であった。1520年歯車式発火装置が,25年には火皿蓋のついた火打石式発火装置が発明されたが,当初は不完全なものが多く,なかなか採用には至らなかった。16世紀初頭の小銃は,口径約18mm(19世紀中ごろまで変化なし),最大射程200m,有効射程100m,発射速度は2分間に1発ぐらいであり,雨天時はほとんど使用不能であった。1618年から始まった三十年戦争においてスウェーデン王グスタブ・アドルフは,火打石式小銃と紙製弾薬包を採用して装塡・発射の時間を短縮し,また弾薬盒(ごう)を用いて弾薬の携行を容易にした。この17世紀初期の火打石式小銃は,発射速度が1分間に1~2発となり,不発の発生率も減少した。18世紀ころの小銃は前装式滑腔銃が主力であって,その有効射程は約100m,発射速度は毎分2発程度であった。アメリカ独立戦争(1775-83)で威力を発揮した後装式施条小銃(17世紀初期に現れはじめた)は,射程と命中精度が優っていることおよび伏姿のまま弾薬の装塡ができることで注目され,近世において主用された前装式滑腔小銃はやがて姿を消すに至った。1805年雷管式発火装置(スコットランド),23年尖頭円形小銃弾(イギリス),44年遊底使用の後方装塡(プロイセン),53年金属性薬莢(イギリス,フランス)などの発明がなされ,またこの間,施条の技術も進み,威力が飛躍的に増大した。

 近代末期においては,(1)施条による命中弾の増加(滑腔銃の数倍といわれる),(2)黒色火薬から綿火薬への火薬の改良,丸弾から尖頭弾への弾丸の改良および口径の縮小化,遊底の完全閉鎖によるガス漏れ防止等でもたらされた初速および射程の増加(近世末期の有効射程約150mが約200mぐらいにまで増加),(3)連発式による発射速度の増加(毎分約2発から約12発に増加),によって性能が向上し,その威力は従来の10倍あるいはそれ以上に向上したといわれ,これが歩兵の戦闘法を改革する要因となった。

 第1次大戦中に小銃から軽機関銃へ移った歩兵の主要火器は,さらに火力増大の要求から,自動連発の個人火器に発展し,自動小銃の採用,装備化が促された。小銃は一部の国において半自動化されて発射速度が増大し,あるいは口径が7.7mm級に改良されて弾丸効力が増大し,かつ機関銃弾薬と規格が同じになったほか,中距離(700~800m)以上における命中精度が向上した。また軽量化されて歩兵銃と騎兵銃との区分がなくなる傾向となった。第2次大戦中における各国の小銃は戦前からの小銃が主体であった。大戦後期にドイツ軍が採用したMKb42,StG44(ともに口径7.92mm,全・半自動切換え,500~600発/分)は突撃銃とも呼ばれ,従来の小銃,自動小銃,軽機関銃等各種の異なった火器の性格をいくらかずつ持ち合わせた銃であり,戦後における各国小銃の原型となった。第2次大戦後,西側ではNATOの火器標準化の動きにより,アメリカはNATO諸国に7.62mm口径を提唱,これらの国は7.62mm口径を採用するに至った。一方,当時のソ連でも7.62mm口径を採用,ほとんどの東側諸国で用いられた。しかし7.62mm弾は必要以上の殺傷力を有し,携行するのに重く,射撃するのに反動が大きく快適でないなど,必ずしも満足なものではなかった。ベトナム戦争で5.56mm口径のM16小銃(アメリカ)が,また中東戦争で同じく口径5.56mmのガリル突撃銃イスラエル)が使用され,5.56mm口径の有効性が確認されてから,他のNATO諸国でも次々に5.56mm小銃が開発され,ソ連でも5.45mm口径のAK74およびAKS74小銃が開発・装備された。

 日本においては,1543年(天文12)の鉄砲伝来以来,わずかの間に多数の鉄砲を使用する近世集団戦術が確立して足軽鉄砲隊が編成され,長篠の戦(1575)の織田軍は3000梃を使用するまでになった。文禄・慶長の役当時は鉄砲と足軽の比は14%程度であったが,関ヶ原の戦(1600)には40%近くまで増大した。しかし,その後は江戸幕府の政策で輸入が禁じられ,国内での生産も制限された。幕末になると各種の銃が輸入使用され,明治以後は国産化も進んで,村田銃,有阪銃が作られ,日露戦争後これを改良した三八式歩兵銃を経て九九式小銃で第2次大戦の終戦を迎えた。現在の自衛隊は64式7.62mm小銃を装備している。

 各国は,現代戦の激烈な火力戦闘に対応するため,さらに小型軽量化,射撃精度の向上,発射速度の増大,携行弾数の増加等に一層の努力を傾注している。
鉄砲
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小銃」の意味・わかりやすい解説

小銃
しょうじゅう
rifle

口径12.5ミリ以下の軍用携帯火器の総称。両手で保持し一発の弾丸を発射する銃一般をいう。多数の小さな弾丸を同時に発射するものは散弾銃(ショットガン)とよんで区別する。もともと歩兵用の軍用銃を小銃とよんでいたが、狩猟などのスポーツ射撃をするものも狩猟用小銃などとよぶ。

[床井雅美]

小銃の発展史

英語の名称ライフルは、弾丸の命中精度を得るため銃身内部に切られた螺旋溝(らせんこう)(ライフリングrifling)に由来する。ドイツなどでは早い時期から軍の狙撃(そげき)兵に螺旋溝つき銃身を装備した小銃「イェーガー・ブクセ」を支給していたが、軍の一般的な歩兵に螺旋溝入りの小銃が普及するのは、パーカッションロック(管打(かんだ)式/雷管(らいかん)式撃発装置)の発火機構が採用された18世紀前後だった。それ以前の小銃は、長さによりマスケットやドラグーンなどとよばれていた。もともと小銃は軍隊の個人武装に用いられる狙撃用武器で、鉛など比重の大きな金属を芯(しん)にした弾丸を射撃する。

 19世紀中ごろまで、銃口部から弾丸や発射薬を装填(そうてん)するマズルローダー(前装式/先込め式)の単発銃が主流だった。19世紀中ごろに弾丸と発射薬点火用の雷管を一体化した薬莢(やっきょう)が発明されると、銃身後端から弾薬を装填するブリーチローダー(後装式/元込め式)が一般的になる。

 ヨーロッパ各国やアメリカは、19世紀末に連発式の小銃を軍用に制定して使用し始める。初め発射薬に黒色火薬を使用したため実用性が低かったが、無煙火薬の発明で弾薬が進歩し実用性を増大させた。

 連発式小銃は、ドイツのフォン・パウル・マウザーが開発したマウザー・ボルトアクション小銃などが主流となった。ボルトアクション小銃は多くの国で採用され、第二次世界大戦の終結まで歩兵の主要な武装として用いられた。

 1930年代にドイツ、アメリカ、旧ソ連などでは自動装填式の小銃が研究され、そのうちのいくつかの製品は第二次世界大戦で使用された。

 第二次世界大戦末にドイツは、小型の短小弾薬を使用し、半自動連射だけでなく全自動連射も可能な突撃銃(スチュームゲベアー/アサルトライフル)を戦線に投入した。多数の弾丸を射撃でき敵制圧力の高い突撃銃は、第二次世界大戦後、世界中の軍隊の軍用小銃の主流となった。現在、日本の自衛隊に選定され使用されている64式小銃や、89式小銃も突撃銃のカテゴリーに属する製品である。

 小銃の性能を大きく左右するのは使用する弾薬である。小銃は銃砲が開発されてから長く黒色火薬を使用した。黒色火薬は、その特性から弾丸に大きな速度を与えにくく、威力を得るため直径20ミリ近い大きく重い鉛の弾丸を発射していた。

 18世紀に火薬の改良が進み、無煙火薬が発明されると、弾丸は革命的に小型・軽量になった。それまでの直径が大きく重かった弾丸は、無煙火薬の発明により直径が8ミリ前後になり軽量になった。国によっては、さらに小さな7ミリや6.5ミリの直径の弾丸も採用された。各国でさまざまな直径の弾丸が試されたものの、その後、曳光(えいこう)弾、焼夷(しょうい)弾、爆裂弾などの特殊弾薬の必要性が出て、小口径では製造がむずかしいところから第二次世界大戦になると直径7.5~8ミリ周辺に落ち着いた。第二次世界大戦中、ドイツやアメリカは、発射薬を減少させて射撃のコントロールを容易にした短小弾薬と、短小弾薬を使用する自動小銃を開発した。第二次世界大戦後、コントロールの容易なこの短小弾薬が軍用弾薬として多用されるようになった。

 ベトナム戦争中にアメリカは短小弾薬をさらに発展させ、直径5.56ミリの弾丸を高速で発射する小口径高速弾薬を軍用に制定した。小口径高速弾薬は射撃の反動が少なく、軽量で兵士の負担を増すことなく大量の弾薬を運搬できる性格をもっているところから、その後の軍用弾薬の主流となった。現在、アメリカをはじめ西ヨーロッパの多くの国々は口径5.56ミリの弾薬、ロシアなどは口径5.45ミリの弾薬、中国は口径5.8ミリの弾薬を、それぞれ最新の軍用弾薬に制定している。

[床井雅美]

代表的な小銃

過去設計製造された小銃は数多くあるが、時代を代表する近世のライフルとしては以下のようなものがある。前装式銃を改造した後装式のスナイダー銃(イギリス)。ボルトアクションの原型となったドライゼ銃(ドイツ)。レバーアクション連発式のウィンチェスターM1866ライフル(アメリカ)。最初のボルトアクション式マウザーM1871ライフル(ドイツ)。もっとも完成度の高い連発式ボルトアクション式で各国でライセンス生産やコピーされたマウザーM1898ライフル(ドイツ)。第二次世界大戦でアメリカ軍に使用されたセミオートマチックのM1ライフル(アメリカ)。最初の突撃銃であったMP44(ドイツ)など。

 第二次世界大戦後の代表作としては以下のようなものがある。旧ソ連原案のAK47(カラシニコフ・オートマチック1947年型)シリーズ。軽合金フレーム装備で小口径高速弾薬を使用するM16ライフル/AR15ライフルシリーズ(アメリカ)。多くの発展型をもつG3ライフル(ドイツ)。多くの国に輸出されたFNライフル・FALライフル(ベルギー)。プラスチックを多用したAUGライフル(オーストリア)など。

 近代日本の小銃の代表としては、1880年(明治13)の初の国産ボルトアクション式十三年式村田銃、1905年(明治38)に制定され旧日本陸軍使用銃の代名詞にもなった小口径ボルトアクション連発式の三八式小銃(三八式歩兵銃)がある。第二次世界大戦後では、自衛隊用として1964年(昭和39)に制定された64式小銃などがある。

 現在、世界各国で使用されている軍用小銃の代表的なものは以下の銃である。アメリカのM16A2ライフル。ロシアをはじめ旧社会主義各国で使用されている小口径高速弾薬を使用するAK74ライフル。オーストリアで開発されたプラスチックを多用した小型のAUGライフル。AK47ライフルを近代化したイスラエルのガリル・ライフル。フランス軍が使用する小型のFAライフル・MASライフル。プラスチックを多用したドイツのG36ライフル。ベルギーやスウェーデン、インドネシアなどで使用されているベルギーFN社原案のFNCライフルなど。日本の自衛隊は、1989年(平成1)に制定された小口径高速弾を使う89式小銃を使用している。

 なお、銃の規制に関する法律については「拳銃」の項目を、銃を用いた競技については「射撃競技」「ライフル射撃」の項目を参照。

[床井雅美]


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百科事典マイペディア 「小銃」の意味・わかりやすい解説

小銃【しょうじゅう】

小口径の軍用携帯火器。単発銃,連発銃および自動小銃の別があるが,単発銃はすでに使用されなくなった。連発銃は遊底の操作によりばねの作用で弾倉内の銃弾を順次発射位置に送り込み,引金の操作で撃針が雷管を打って発射する。有効射程1500m程度まで。旧日本陸軍の三八(さんぱち)式歩兵銃は代表的なもの。両度の大戦を経て今日ではほとんどの国が自動小銃を装備している。→騎兵銃鉄砲ライフル銃
→関連項目カービン銃火砲狭窄弾拳銃銃剣術

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小銃」の意味・わかりやすい解説

小銃
しょうじゅう
gun; rifle

拳銃を除く個人携帯用の軍用銃で,歩兵の最も基本的な兵器。15世紀後期以後手砲から発達したもので,17世紀に燧石と撃鉄が登場するまで,火縄銃が使用された。19世紀に入ると後装銃をはじめとして,輪胴銃,多銃身銃,連発銃が登場したが,最も大きな進歩をもたらしたのは,雷管式発火装置の発明であった。19世紀には施条銃(→ライフル銃)が一般化した。20世紀に入ると小銃は短くなり,装填が自動化され始めた。1960年代から軽量で中射程の自動小銃が多用されるようになった。日本の代表的な小銃には,旧陸軍の村田銃,三八式歩兵銃,九九式小銃,自衛隊の 64式小銃,89式小銃がある。(→小火器

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世界大百科事典(旧版)内の小銃の言及

【弾薬】より

…狭義には拳銃,小銃,大砲などの火器や火砲から発射されるものをいう。広義にはこのほか,爆弾,ミサイル,ロケット弾など軍事的に敵に向かって投射または発射されるあらゆる飛翔体をいい,さらにすべての爆発物,爆発装置,火工品をさすこともある。…

【鉄砲】より

…火薬の爆発力を利用して弾丸を打ち出す武器。大砲を含むこともあるが,とくに小銃を指す。ここでは,西洋における鉄砲を含む武器携帯のあり方,日本への鉄砲伝来と近世における鉄砲使用のあり方について説明する。…

【武器】より

…諸種の武器の長所を組み合わせる意図がうかがわれる。
[火薬の登場――巨砲から小銃へ]
 徐々に,しかし決定的に,武器体系に変革をもたらしたのは,いうまでもなく火器の登場である。火薬の発明には伝説がつきまとっている。…

※「小銃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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