小耳(読み)こみみ

精選版 日本国語大辞典 「小耳」の意味・読み・例文・類語

こ‐みみ【小耳】

〘名〙 (「こ」は接頭語)
① 耳。
※保元(1220頃か)中「左の小耳の根へ、箆中(のなか)(ばかり)射こまれたれば」
② (「子耳」とも) 子どもの耳。大人の話などを子供が聞くことにいう。
浮世草子・好色一代男(1682)二「幾人(いくたり)が心の儘にと申す程に、小耳(こミミ)にも面白き時は十五歳にして」
[語誌](1)①は一般に「耳」と同義に解されているが、「俳・風俗文選犬註解‐三」の「爛熳と咲みだれたる中にも首筋小耳のあたりに産毛の深き所ありていやし」の例や、「耳の付け根の起肉部」の称とする「医学至要鈔」の記述から、耳の、ある部分の名称とも考えられるが、明らかではない。
(2)②のように近世では文字通り小さい耳の意で、子どものころに耳にしたことにいうようになり、「子耳」という表記も現われるが、近代以降、表記、用法も「小耳に挟む」「小耳にとまる」などの慣用表現に限定され接頭語「こ」は、「小首をかしげる」「小膝を打つ」などと同様に、後接する動詞に「ちょっと~する」の意と解されるようになったと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「小耳」の意味・読み・例文・類語

こ‐みみ【小耳】

耳。また、ちょっと耳にすること。ちらりと聞くこと。「小耳にとまる」
小鬢こびんのはづれ―の上、三太刀まで切られければ」〈太平記・三二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android