小田幾五郎(読み)おだ・いくごろう

朝日日本歴史人物事典 「小田幾五郎」の解説

小田幾五郎

没年天保3(1832)
生年:宝暦5(1755)
江戸時代の対馬藩朝鮮語通詞幼名を五郎八。貿易特権商人「六十人」の一族,小田藤八郎の家に生まれたため,幼少より朝鮮語に接する環境にあった。対馬の朝鮮語稽古所でさらに語学研修に励み,通詞職を歴任。最上位の大通詞を27年間勤めながら,指南役として後進の教育にも当たる。朝鮮訳官との親交も深く,知見した諸事を『象胥紀聞』『草梁話集』『通訳酬酢』『北京路程記』などにまとめ,独自の朝鮮学を極める。晩年に詠んだ「通弁は秋の湊の渡し守り往き来の人のこゝろ漕ぎ知れ」の和歌は,生涯を通詞一筋に捧げ,真の通詞を追い求めた幾五郎の人柄を偲ばせる。

(田代和生)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小田幾五郎」の解説

小田幾五郎 おだ-いくごろう

1755-1832 江戸時代中期-後期の通詞。
宝暦5年生まれ。12歳のころ朝鮮にわたり釜山の草梁和(倭)館で朝鮮語を習得し,対馬(つしま)(長崎県)府中藩通詞となる。長崎勤番御雇通詞,本通詞をへて寛政7年大通詞となった。晩年まで朝鮮研究につとめた。天保(てんぽう)3年死去。78歳。幼名は五郎八。著作に「象胥(しょうしょ)紀聞」「草梁話集」「朝鮮詞書」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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