小春日和(読み)こはるびより

精選版 日本国語大辞典 「小春日和」の意味・読み・例文・類語

こはる‐びより【小春日和】

〘名〙 冬の初め頃の、暖かく穏やかな気候。陰暦一〇月頃の春のような天気。《季・冬》
千曲川スケッチ(1912)〈島崎藤村〉七「秋から冬に成る頃の小春日和は、斯の地方での最も忘れ難い、最も心地の好い時の」

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デジタル大辞泉 「小春日和」の意味・読み・例文・類語

こはる‐びより【小春日和】

初冬のいかにも小春らしい穏やかで暖かい日和。 冬》「玉の如き―を授かりし/たかし
[補説]文化庁が発表した平成26年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「初冬の頃の、穏やかで暖かな天気」で使う人が51.7パーセント、本来の意味ではない「春先の頃の、穏やかで暖かな天気」で使う人が41.7パーセントという結果が出ている。
[類語]日和秋日和菊日和小春日・ぽかぽか陽気・行楽日和

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小春日和」の意味・わかりやすい解説

小春日和
こはるびより

小春は、陰暦10月の別称で、小六月(ころくがつ)ともいう。太陽暦ではほぼ11月から12月上旬に相当する時期である。そのころの穏やかな好天が小春日和で、日なたは暖かいが、日陰はひんやりしており、夜は冷え込む。低気圧平地に雨、高山に雪を降らせて日本の東に抜けたあと、大陸から高気圧が張り出して、気圧配置西高東低型となり冷たい北風が強めに吹くが、翌日は大陸高気圧は移動性となり、風は弱まって小春日和となる。季節が進むと、暖かい好天は「冬暖(ふゆあたたか)」「冬日和」などとよばれる。

[平塚和夫]

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百科事典マイペディア 「小春日和」の意味・わかりやすい解説

小春日和【こはるびより】

初冬のころの,晴天で穏やかな暖かい天気。小春はもともと陰暦10月の別名で小六月ともいい,現行陽暦のほぼ11月に相当する。低気圧の過ぎ去ったあとに張り出した大陸高気圧が日本をおおって何日も小春日和の続くことがある。同じような日和を英米ではインディアンサマーという。

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四字熟語を知る辞典 「小春日和」の解説

小春日和

冬の初め頃の、暖かく穏やかな気候。陰暦十月頃の春のような天気。

[使用例] 秋から冬になる頃の小春日和は、この地方での最も忘れ難い、最も心地のよい時の一つである[島崎藤村*千曲川のスケッチ|1912]

[使用例] 「風も波も今朝はおさまりまして、小春日和といいますのでしょう。」と女は話をそらせてしまった。[川端康成*眠れる美女|1960~61]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小春日和」の意味・わかりやすい解説

小春日和
こはるびより
balmy autumn weather, Indian summer, St. Martin's summer

晩秋から初冬にかけて現れる穏やかな暖かい晴天。小春とは旧暦 10月のことで,太陽歴では 11月から 12月上旬にあたる。厳しい冬を前に現れる温和な天気を喜んだことばで,アメリカ大陸やヨーロッパにも冬を前にしたこの時期の穏やかな晴天をインディアン・サマー,老婦人の夏などと呼ぶことばがある。

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とっさの日本語便利帳 「小春日和」の解説

小春日和

晩秋から初冬にかけての暖かな日和。小春とは、旧暦一〇月の異称。

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世界大百科事典(旧版)内の小春日和の言及

【インディアン・サマー】より

…秋ないし初冬に,晴天が続き,日中は高温,夜間は冷えこむ特異な期間をいう。北アメリカ東部のニューイングランド地方で最もひんぱんに使用される語だが,現在では英語を話す各国で用いられ,日本の〈小春日和(こはるびより)〉にほぼ相当する。その使用の歴史は1778年にさかのぼるが,起源は不明である。…

【日本列島】より

… 秋晴れ秋の空がよく澄んで晴れわたっていること。 小春日和晩秋から初冬にかけてのころにみられる暖かくおだやかな晴天をいう。小春とは陰暦10月の別称で,新暦の11月から12月初めにあたる。…

※「小春日和」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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