小千谷(市)(おぢや)(読み)おぢや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小千谷(市)(おぢや)」の意味・わかりやすい解説

小千谷(市)(おぢや)
おぢや

新潟県の中央、信濃(しなの)川の谷口にある都市。小千谷縮(ちぢみ)で有名。1954年(昭和29)小千谷町を中心に城川千田(ちだ)の2村を編入して市制施行。同年川井村と東山村・六日市(むいかいち)村の各一部を編入、1955年岩沢、真人(まっと)の2村、1956年片貝(かたがい)町を編入して谷口段丘全域を包含した。付近は古代千屋郷(ちやごう)とよばれた魚沼郡の発祥地で、小千谷は信濃川谷口の河岸(かし)町であった。近世初期は、高田藩領の上田銀山の開発で、三国、銀山両街道の宿場町として、段丘面上に新町割りされ、魚沼八組の陣屋町であり、信濃川水運の口留(くちどめ)番所河岸として重きをなした。JR上越線、飯山線が通じ、国道17号、117号、291号、351号、403号が交差し、関越自動車道の小千谷インターチェンジがある。長岡、十日町、魚沼方面へのバス交通の起点。面積155.19平方キロメートル、人口3万4096(2020)。

[山崎久雄]

産業

有名な小千谷縮は、江戸時代播州(ばんしゅう)(兵庫県)明石(あかし)の浪人堀次郎将俊(ほりじろうまさとし)が、古くからの越後上布(えちごじょうふ)を改良して織り出したものといい、堀次郎は小千谷体育館前の明石堂に祀(まつ)られている。また、居座機(いざりばた)による製織や雪晒(ゆきざらし)、仕上げなどの縮織技法は小千谷縮・越後上布として国の重要無形文化財に指定されている。近世小千谷はこの小千谷縮の問屋町で、縮四大市場の一つであり、また点蝋(ともしろう)(ろうそく)の生産が盛んで、蝋実(ろうみ)や縮の原料である青苧(あおそ)の集散地として栄えた。第二次世界大戦後、織物は伝統的特産物となり、米菓、醸造業などの食品工業や、機械工業が盛んである。「泳ぐ宝石」の名で有名なニシキゴイは、小千谷の山間地帯で農閑期の副業として始まったもので、その後、長岡(ながおか)市山古志(やまこし)地区の特産にもなった。2004年(平成16)の新潟県中越地震で小千谷市や山古志地区などのニシキゴイの養殖は大打撃を受けたが、現在は復活し、2014年には中越大震災からの復興象徴として、長岡市と同時に市の魚に制定された(2017年新潟県の鑑賞魚に指定)。毎年、春と秋に品評会が開催されている。

[山崎久雄]

観光

中心市街は信濃川左岸段丘上の西小千谷で、船岡公園のサクラの名所や、スキー場で知られる山本山高原、戊辰(ぼしん)戦争ゆかりの慈眼寺(じげんじ)などがある。右岸の東小千谷には薭生(ひう)城跡、朝日山戊辰戦跡があり、観光開発にも力が注がれている。

[山崎久雄]

『『小千谷市史』上下(1967、1969・小千谷市)』『『小千谷の歴史』(1964・小千谷市)』


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