小児心疾患(読み)しょうにしんしっかん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小児心疾患」の意味・わかりやすい解説

小児心疾患
しょうにしんしっかん

小児にみられる心疾患で、そのうち重要なものは、乳幼児における先天性心疾患(おもに心臓奇形)と、年長児におけるリウマチ性心疾患である。

 先天性心疾患は、だいたい出生1000に対して6~8と考えられている。疑わしい症状はチアノーゼ哺乳(ほにゅう)困難、嘔吐(おうと)、多呼吸、発育遅滞、呼吸器感染の繰り返しなどである。心臓奇形の型で日常臨床上もっとも多いのは心室中隔欠損であり、ついで動脈管開存、心房中隔欠損、ファロー四徴症肺動脈狭窄(きょうさく)である。これらの診断は、チアノーゼの有無、心雑音、胸部X線写真、心電図などによる。さらに必要があれば、心音図、超音波検査法、心臓カテーテル、心血管造影を行う。機能性心雑音は、小児の半数以上に聞かれる。その鑑別には十分に注意する必要がある。

 後天性心疾患ではリウマチ性心疾患がもっとも多い。急性期の心炎はリウマチ熱発症後3週間以内に認められるものが多く、後遺症として弁膜症を残す。心炎の診断根拠となる症状は、心雑音、胸部X線上での心拡大、心嚢(しんのう)炎、心不全である。心臓弁膜症としては、僧帽弁閉鎖不全大動脈弁閉鎖不全が多く、心炎が再発すると増悪し、心不全に陥って死亡する場合がある。

[山口規容子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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