小代焼(読み)しょうだいやき

精選版 日本国語大辞典 「小代焼」の意味・読み・例文・類語

しょうだい‐やき セウダイ‥【小代焼】

〘名〙 熊本県玉名市の小岱山山麓で焼かれた陶器。寛永八年(一六三一)細川家の転封に従って上野(あがの)焼の陶工源七が開窯したのが始まりで、小代山焼ともいう。明治中頃、南関(なんかん)町(古名松風の関・大津山関)に移された。松風焼。五徳焼。滝の原焼。〔本朝陶器攷証(1857)〕

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デジタル大辞泉 「小代焼」の意味・読み・例文・類語

しょうだい‐やき〔セウダイ‐〕【小代焼】

肥後国玉名郡(熊本県玉名市)の小代山麓から産した陶器。細川忠利肥後移封に伴って豊前から来た牝小路ひんのこうじ源七と葛城八左衛門が開窯したのに始まる。日用雑器を主に、茶器も製した。加藤清正文禄慶長の役後に朝鮮から連れ帰った陶工に始まるとの説もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小代焼」の意味・わかりやすい解説

小代焼
しょうだいやき

熊本県玉名郡の小代(小岱とも)山麓(さんろく)で焼かれた陶器。八代(やつしろ)焼と並ぶ名窯で、福岡県の上野(あがの)窯の系譜を引き、細川忠利(ただとし)が小倉(こくら)城から熊本城に移封された1631年(寛永8)に、上野焼の陶工源七と八左衛門が小代山の北東麓に開窯した。両家とも44年(正保1)に藩から御赦免開きの特権が与えられ、以後江戸末期を最盛期として、1936年(昭和11)ごろ廃窯となった。上野焼系の藁(わら)灰白釉(ゆう)と黒褐釉を基本に、日用雑器のほか茶具の瀟洒(しょうしゃ)な作品が残る。「小代」「松風(まつかぜ)」「牝小路(ひんのこうじ)」「葛城(かつらぎ)」「五徳」などの角印や小判形印を捺(お)しており、松風焼ともいう。

[矢部良明]

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「小代焼」の解説

小代焼[陶磁]
しょうだいやき

九州・沖縄地方、熊本県の地域ブランド。
荒尾市・熊本市・玉名郡南関町・玉名郡長洲町・宇城市で製作されている。江戸時代初期の1632(寛永9)年、初代細川藩主・細川忠利が豊前から肥後に移封となった際、随従した陶工・源七と八左衛門らが小岱山麓の地に登り窯を開いたのが始まり。細川藩の御用窯として茶陶を焼くと同時に、日用雑器も数多くつくられていた。高温焼成で丈夫な陶器である。上釉は藁灰・木灰・長石を用い、流し掛けの技法が特徴。熊本県伝統工芸品。2003(平成15)年3月、経済産業大臣によって国の伝統的工芸品に指定。

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世界大百科事典(旧版)内の小代焼の言及

【荒尾[市]】より

…戦前の工場跡地付近は総合運動公園,三井グリーンランド,ゴルフ場となり,近年台地には住宅団地や大規模なショッピングセンターができている。周辺では17世紀初めに起源をもつといわれる小代焼,ナシ,ミカンを産し,県立公園小岱山麓に古代の窯跡や製鉄跡群,三宮古墳の石人のほか,宮崎八郎,民蔵,滔天3兄弟の生家と滔天と孫文の深い交流を物語る宮崎兄弟資料館がある。孫文の記念館がある。…

【小岱山】より

…山麓に玉名温泉,石貫ナギノ横穴群,蛇ヶ谷公園がある。近世に北東麓で始められた唐津風の小代焼は,現在も荒尾市府本などでつくられている。【岩本 政教】。…

【南関[町]】より

…南部は小岱山(しようだいさん)県立自然公園に属する。また1632年(寛永9)細川忠利の熊本入部に従ってきた上野(あがの)焼の陶工が始めた小代焼の窯跡が残り,現在も茶器,壺,植木鉢などの日用陶器を焼く。【松橋 公治】。…

※「小代焼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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