普及版 字通 「将(漢字)」の読み・字形・画数・意味
将
常用漢字 10画
(旧字)將
人名用漢字 11画
[字訓] すすめる・ひきいる・おこなう・まさに
[説文解字]
[金文]
[その他]
[字形] 会意
旧字は將に作り、爿(しよう)+(肉)+寸。爿は足のある几(き)(机)の形で、その上に肉をおいて奨(すす)め、神に供える。軍事には、将軍が軍祭の胙肉(そにく)を奉じて行動した。その胙肉を(し)といい、師の初文。帥(そつ)もその形に従う。これを以ていえば、將とはその胙肉を携えて、軍を率いる人である。殷器にはを標識として用いるものがあり、王族出自の親王家を示す図象であるらしく、その身分のものが軍将に任じ、作戦の中核となった。將・壯(壮)の字に含まれる爿は、その図象と関係があるものと思われる。〔説文〕三下に「帥(ひき)ゐるなり」と訓し、(しよう)の省声とするが、は將声に従う字であるから、將がの省声ということはありえない。奬(奨)は將の繁文。將は訓義多く、字書に列するものは五十数義に及ぶが、将帥が字の原義である。
[訓義]
1. すすめる、ささげる、祭肉を神にすすめる。
2. ひきいる、その祭肉を携えて軍をひきいる。
3. おこなう、進める、おくる、いたす、なす、たすける、もつ、もちいる、やしなう。
4. おおきい、さかん、うつくしい。
5. ねがう、ねがはくは。
6. ほとんど、まさに、まさに~す。
7. 副詞として、すなわち、あるいは。
8. 助詞として、はた、かつ、ただ、それ、もし、なお。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕將 スト・モノ・モツ・オクル・ヒキヰル・マサニ・ムス・コオフ・オホイナリ・ヤシナフ・タスク・ホトリ・カル・ユク・マサニ(~)セントス・コフ・トモナフ・ヰテ・ヰル・モチ・モハラ・モテヰテ/戰將 イクサノキミ/將來 ユクスエ・ヰテキタル・モチキタル・ユクサキ 〔字鏡集〕將 ムス・コフ・ユク・ス・ト・モツ・シテ・トモ・ヰル・モチ・ヤル・ハタ・ホシ・ウゴナフ・オホイナリ・モハラ・ヤシナフ・トモナフ・タレカ・イクサ・マサニ・オクル・ヒトトナル・タマフ・オキテ・ヰテ・ヰル・モチヒル・タスク・ホトリ・オサム・ヤスム・セントス・ウケル・ヒキヰル
[声系]
〔説文〕に將声として・奬など五字を収める。獎を〔説文〕十上に「犬を嗾(そそのか)して、之れを(はげ)ますなり」とするが、犬牲を供える意であろう。
[語系]
將・奬・tziangは同声。肉を薦めて祭事を「将(おこな)う」ことを將といい、犬牲を以てするを獎といい、これによって軍事を助けることを「(たす)く」という。軍の中堅を壯tzhiangというのは、將とともに、殷の金文図象と関係があるものと思われる。
[熟語]
将愛▶・将位▶・将引▶・将家▶・将器▶・将戯▶・将御▶・将迎▶・将護▶・将校▶・将佐▶・将材▶・将士▶・将指▶・将次▶・将事▶・将順▶・将相▶・将将▶・将食▶・将帥▶・将摂▶・将送▶・将息▶・将率▶・将美▶・将父▶・将弁▶・将命▶・将門▶・将養▶・将来▶・将略▶・将領▶
[下接語]
亜将・鋭将・客将・干将・悍将・将・騎将・強将・梟将・驍将・軍将・健将・賢将・豪将・次将・主将・首将・宿将・上将・神将・善将・賊将・大将・智将・闘将・飛将・裨将・扶将・武将・部将・副将・辺将・偏将・奉将・謀将・名将・猛将・勇将・虜将・良将・領将・老将
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報