射礼(読み)ジャライ

デジタル大辞泉 「射礼」の意味・読み・例文・類語

じゃ‐らい【射礼】

主に平安時代宮中で行われた年中行事。正月17日に豊楽院ぶらくいんまたは建礼門の前で、天皇臨席のもとに親王以下五位以上および六衛府官人が参加して射技を披露したもの。終了後には宴が開かれ、禄を賜った。大射たいしゃ

しゃ‐れい【射礼】

じゃらい(射礼)

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精選版 日本国語大辞典 「射礼」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐れい【射礼】

〘名〙 (「じゃれい」とも)
太平記(14C後)二四「其の年中行事と申は、先づ正月には、〈略〉十六日は踏歌節会、〈略〉射礼(ジャレイ)賭弓、年始の帳」 〔儀礼注‐大射〕
② 近世以降の弓道で、烏帽子直垂(ひたたれ)装束威儀を正して行なう儀礼としての歩射(ぶしゃ)
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉十月暦「八十近い老人連が〈略〉其他真面目に射礼(シャレイ)を行って」

じゃ‐らい【射礼】

〘名〙 (「らい」は「礼」の呉音) 朝廷群臣が弓を射る儀式。平安時代には年初の行事として一月一七日に、建礼門の前に射場を設け、親王以下、五位以上および六衛府の官人などが行なう競射。大射。しゃれい。《季・新年》
続日本紀‐天平宝字四年(760)正月己卯「饗文武百官主典已上於朝堂。是日内射。因召蕃客射礼

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改訂新版 世界大百科事典 「射礼」の意味・わかりやすい解説

射礼 (じゃらい)

正月17日,建礼門前において行う弓の技を試みる行事。大射ともいう。親王以下,五位以上,六衛府の者が集合し,天皇は豊楽院で観覧する。まず五位以上が,次いで衛府の射手が射つ。鉦鼓をならし,的中は音で知らせ,優秀な者に賞をたまわる。670年(天智9)より恒例となる。これに先立ち,15日に兵部省で〈兵部手結(てつがい)〉と称し予行し,射手を選出する。当日遅れた者は射遺(いのこし)と称し,翌日行う。
手結
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「射礼」の意味・わかりやすい解説

射礼
じゃらい

平安時代、正月17日に建礼門前で行う弓の儀式。親王以下、五位以上および左右近衛(このえ)、左右兵衛(ひょうえ)、左右衛門の官人が弓を射る。天皇が豊楽院(ぶらくいん)に臨御され、御覧になる。まず鉦鼓(しょうこ)を打ち鳴らし五位以上の者が射、次に諸衛府の射手が射る。うまい射手には禄(ろく)を賜り、天皇が群臣に宴を賜る。

 当日の2日以前に手結(てつがい)(手は射手、結は順番。射る順序を決めること)をするための予行演習が兵部省で行われる。清寧(せいねい)天皇4年に始まったとされるが、儀式として整ったのは天武(てんむ)天皇4年(675)正月17日。この日参加しない者は、五位以上は新嘗祭(にいなめのまつり)に参列することを許されず、六位以下は季禄(給料)をもらうことができなくなるという。後光厳(ごこうごん)天皇の応安(おうあん)(1368~75)以後は廃絶した。

[山中 裕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「射礼」の意味・わかりやすい解説

射礼
じゃらい

弓道における礼式としての射法。奈良,平安時代から朝廷行事として祭祀式典などの場で奉納の形として行なわれた。奉射大的式,百々手式,草鹿 (くさじし) などがあり,今日でも神社などで行なわれている。

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普及版 字通 「射礼」の読み・字形・画数・意味

【射礼】しやれい

射の儀礼。

字通「射」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の射礼の言及

【手結】より

…射術を競う朝廷の年中行事である射礼(じやらい),賭射(のりゆみ),騎射(うまゆみ)の前に行う武芸演習をいう。手は射手,結は番(つがう)(2人を組み合わせる)の意味。…

※「射礼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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