専門教育(読み)せんもんきょういく

精選版 日本国語大辞典 「専門教育」の意味・読み・例文・類語

せんもん‐きょういく ‥ケウイク【専門教育】

〘名〙
① 特定の分野または内容に関する専門的な教育。
学校教育法(1947)四一条「高等学校は、〈略〉高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする」
② 学問研究または高度の専門職業のための教育。旧制の専門学校または大学の教育。
※人物経済(1927)〈河津暹〉「教育制度を如何にするかといへば、専門教育と言っても今日のやうな一般的概念的のものならもっと教育年限を短縮して」

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デジタル大辞泉 「専門教育」の意味・読み・例文・類語

せんもん‐きょういく〔‐ケウイク〕【専門教育】

特定の分野または内容に関する専門的な教育。
高度の知的、技術的な専門職業のための教育。

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大学事典 「専門教育」の解説

専門教育
せんもんきょういく

[概説]

大学教育は最終的には職業への準備教育の意味合いを持つ。したがって,労働市場との関係において,専門教育は大学教育の中できわめて大きな役割を果たしている。ここでは便宜上学部を,農学部を含む理工系,医歯薬系,そして文系に分類してそこでの専門教育について記述する。

[理工系学部] 専門教育には座学と実験,そして卒業研究あるいは卒業論文に代表される「研究」がある。座学(専門教育)は各学部・各学科における専門分野の講義や演習である。たとえば工学部の化学系学科であれば,物理化学有機化学の基礎的知識や概念を学ぶ科目,産業界で実際に行われている製造過程に密接に関係した工業化学化学工学などの科目があり,機械系学科であれば,流体力学や工業力学などによって機械を設計し,それを働かせるのに必要な基礎から応用までの基礎知識と概念を学習する。また各学科で,座学に関係させた内容を実験(専門教育)として行う「学生実験」がある。これらは,各分野の労働市場に出て工場や研究所で働く場合に,学生が身につけているべき知識と技術の基礎として必須のものである。工場見学や工場・企業研究所実習もインターンシップとして授業化・単位化されつつある。

[医歯薬系学部] 医学部では,医師として臨床に携わるための基礎医学と臨床医学の専門教育があり,基礎医学では生化学や法医学など,臨床医学では伝統的診療科に関係した専門分野を学ぶ。高学年ではポリクリ実習と呼ばれる大学病院での回診参加や手術見学など,見学型臨床実習がある。最近ではクリニカルクラークシップという,指導医の監督のもとに,規定された範囲内の医療行為を行う診療参加型臨床実習も課されている。歯学部でも同様に,歯科口腔医学に関する基礎および臨床的な科目を学び,その後,卒前臨床実習を行うが,ここでも臨床実習は以前の見学中心型から診療参加型に変化している。これらの臨床実習に参加するためには,医歯系では医療系大学間共用試験実施機構が行うコンピュータを用いた客観試験(Computer-Based Testing: CBT)と客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination: OSCE)に合格していなければならない。薬学部では基礎および実習科目のほかに,5年次以降に病院・薬局での実務実習が必修であり,これに登録するためには薬学共用試験センターが行うCBTおよびOSCEに合格する必要がある。

[文系学部] 法学部,経済学部,文学部などの文系学部では,職業選択に企業など通常の労働市場を考えた場合には,学部での教育内容と企業等における職業実践の内容とは必ずしも十分には相関していない。多数の学部から抽出した卒業生の調査であるが(吉本,2001),欧州11ヵ国との比較調査(1998~99年実施)では,大学在学中に獲得した知識・技能の職業生活での活用度の意識は日本人が最も低く,日本の大学での教育内容とその職業的有意性がきわめて低いことを強く示唆している。職業的実践とより関連の深い実習・授業開発が望まれる。なお,教育学部や文学部,経済学部,理学部等から初中等教育の教師をめざす場合は,学校での授業実践を伴う教育実習が従来から必修となっている。

[職業と専門教育] 専門教育において,工学系学部でのインターンシップの単位化や,医歯薬系学部での臨床的実践を模倣した授業内での訓練の高度化が進んでおり,カリキュラムと職業との相関はこれらの学部では高くなる傾向にある。しかし,解決すべき課題も多い。理工系学部では,技術革新などに伴い,労働市場参画後において大学で習得した知識や能力が陳腐化すること,就職時点および就職後の仕事内容や専門分野の変化に伴い,大学で得た知識・能力と職場で必要とされるそれとのマッチングが減ること,による技術者の危機も指摘されている。

 今後は,各学部において語学力やコミュニケーション能力を含めた,表面的ではない高いジェネリック・スキル(汎用的能力)の訓練と専門教育との統合が課題となると考えられる。
著者: 赤羽良一

[カリキュラム]

カリキュラム(専門教育)は狭義には教育課程と称されるごとく,その規定条件は狭まるとしても,概念自体はかなり広範な条件によって成立していることは否めない。学士課程を事例にすれば,カリキュラムは中世大学以来,教養教育と専門教育を基軸に編成されており,学生は学芸学部で自由七科のリベラルアーツ科目を履修したのちに,法学,医学,神学などの上級学部へ進学して,学部ごとの専門教育科目を履修した。学芸学部や他の3学部で編成されている個々の教育課程は現代大学のそれらほど大規模ではなかったものの,それでも中世大学のカリキュラム全体はかなり広範囲の包括性を擁していたことが理解できる。

 翻って現代では初年次教育やキャリア教育などが追加され,カリキュラムの規模が膨張の一途を辿り,内容の拡大と多様化は顕著である。19世紀を原点とする近代大学の誕生以後は,アメリカ合衆国ジョンズ・ホプキンズ大学の設置(1876年)を皮切りにして大学院が制度化された。学士課程の上に修士課程,博士課程が上乗せされたのに伴って専門分野が拡大し,内容的により進んだレベルの授業が大学院で教えられるようになった。こうして知識の新陳代謝に伴う新たな専門分野の叢生と増殖がとくに専門教育のカリキュラム編成に影響を及ぼすことになった。これは科学を制度化した大学が,科学知識や先端的な知識である専門分野の増殖によって変化せざるを得なかったという必然性があると同時に,その増殖と密接にかかわる環境変化に起因しているのである。すなわちカリキュラムを取り巻く環境(たとえば社会,国家政府,知識,大学,教員,学生などを含む)が時代に呼応して変化を遂げ,専門教育のカリキュラム編成に対して少なからぬ影響を及ぼしているからにほかならない。その意味ではカリキュラムは刻々と変化する習性を持つばかりか,中世大学から近代大学,現代大学を経由する間に驚くほど飛躍的に拡大したのである。

 基本的にカリキュラムと教員と学生の三位一体の構成要素から成立する授業(教授-学修過程)に注目すると,学生は主専攻または副専攻の対象となるカリキュラムとともに,カリキュラムを具体化した教科書や資料を使って授業を担当する教員との相互作用を行うことによって学修力,さらに学士力を培う。したがって,学生の豊かな学士力を教育理念の到達目標・目的の水準に至るまで涵養するには,たとえば建学の精神の追求をめざす場合を事例にすれば,その精神を教員自身が十分に理解することとその精神をカリキュラム編成によって実現することが相まって,教員とカリキュラムが有機的に作用しなければならない。同時に教員とカリキュラム両者の質や質保証が問われるのは当然である。前者の教員の場合,カリキュラムの水準にまで学生を導く指導力が問われ,後者のカリキュラムの場合,学生の現実的な学力を理念的な学士力まで高めるために,その適切性や拘束性が問われることにほかならない。

 換言すれば,その時代や社会に不可欠なカリキュラムはコアカリキュラムとして必修化されるし,カリキュラムを構成する科目は各専攻分野における重要度に応じて必修科目,選択必修科目,選択科目とされる。中世大学ではラテン語や宗教は社会的な重要性が高く,概して必修科目となったが,現代大学での両者の拘束力は弱まったとみなされる。他方,現代のグローバル化や知識社会化の時代では,英語やコンピュータは社会的な重要性を増しており,両者は必修科目から落とせないはずである。なぜなら今日の大学においては創造力,問題解決力,汎用的能力など,学士力の質保証に欠かせない要素を取捨選択しながら教育課程を含むカリキュラムは編成されるべきだからである。
著者: 有本章

[研究]

学生時代に経験した研究(専門教育)活動で得た知識や能力は,社会的人材として労働市場に参画後,それぞれの職務を遂行していく上できわめて重要な役割を果たす。なぜなら,研究活動には大学での知的活動の本質が集約されているからである。

 理工系・自然科学系学部では卒業研究を行うため,通常4年生で研究室に配属され,新しい知見を生み出すために研究実験を行う。そこでは,①個人あるいはグループでの関連文献の検索,新着学術雑誌・成書講読,②実験器具・装置を用いた実験の遂行,③研究結果の整理・解釈,④成果の研究室内外での発表などの訓練が学生に課される。研究課題の設定は理工系・自然科学系分野では指導教員が最終的に責任を持つが,研究の展開の中で学生自らが課題を提案することも可能であり,また教員や研究室構成員との日常的議論,装置や共通大型機器の共用と管理,課題達成のための具体的実験テーマの分担も行う。つまり,解決すべき課題の設定,その解決のための実験(実践),グループメンバー(他者)との協調と共同,新規課題の計画・実行,国内外での口頭あるいは文章での研究成果の発表など,社会で主体性をもって知的・実践的に活動するときに必要とされる基本的知識と能力を身につけるための訓練は,学部での卒業研究としての研究実践に基本的にすべて存在している。大学院になれば,その訓練期間はより長期になり,内容もより包括的となる。これこそ,労働市場に参画していく学生の基本的能力の養成に大学での「研究」が果たしている重要な役割である。

 同様な研究実践による訓練は,文系学部でも行われている。大学や学部にもよるが,卒業研究は必修になっている場合もあり,そこでは上記のような研究のプロセスを踏んで学生は研究に参加する。事例研究や文献検索法など,卒業研究を支援する専門科目が配置されている場合もあり,これは卒業研究の実践に有用である。

 しかし,問題点もある。理工系・自然科学系では学部と大学院修士課程合わせて3年間程度の研究経験を経て産業界に入る学生がきわめて多いが,文学部,法学部,経済学部等の人文社会系分野ではそうではない。その意味で,文系では大学院の研究(専門職大学院を除く)における「研究」の労働市場への人材供給の役割は,理工系に比べればきわめて小さいということができる。このことは,理系の博士課程大学院にもいえるが,大学院での教育内容とその修了生を受け入れる社会の産業・雇用構造との関係で日本の大学・大学院制度全体が解決すべき大きな課題である。それとも関係するが,卒業研究を含む専門科目に関わる職業的レリバンス(大学教育と職業との内容的適合性・剝離)の問題も労働市場と大学との関係を考える上で避けて通れない大きな問題といえよう。

 最後に,通常の授業科目と「研究」との関係について付言したい。近年,学生による主体的学習能力の育成をめざしてアクティブ・ラーニングによる授業実践が盛んに行われている。しかし,上で記したように,ここで試みられていることは,学生の学部・大学院での「研究」への参加によって,とくに理工系・自然科学系学部ではこれまで十全に行われてきたものである。「研究」が学生にとってこのような機能を持つのは,それが持つ本来の性格からすればきわめて自然なことといえる。専門科目としての「研究」は,これからのアクティブ・ラーニングなどの授業の開発・実践においてその範とすべきものであると言えよう。学生に関わる労働市場と職業実践との関係において,「研究」の重要さは今日の大学において増しこそすれ,減ることはない。
著者: 赤羽良一

[労働市場]

卒業後の労働市場と専門教育大学における専門教育との関係は,次の三つに大きく分けることができる。第1は,医師と医学部の関係にみられる業務独占型の資格職業とその養成を目的とした専門教育である。職務の専門性に根差した企業横断的労働市場が成立しており,教育内容はその職務,あるいは資格取得のための試験などによって強く規定される。大学の起源とされる中世のヨーロッパの大学は,法学,神学,医学の高度専門職を養成する機能を持っていたが,この領域はその流れを引き継ぐものだといえる。

 第2は,技術者と工学部の間にみられるような専門性を基軸にしながらも,より緩やかに結びつく関係である。19世紀後半からの工業発展につれて専門的知識・技術を持つ人材への需要は高まり,これに対応した教育機能が必要とされた。継続的な発展は産業構造の変容も伴うが,それにつれて必要な知識・技術は拡大していき,専門分野は多様化していった。それだけに職務の専門性が教育に直結する形にはならず,間接的な関係にとどまる。とくに第2次世界大戦後の日本で発達した「日本型雇用」においては,職務を基準とする企業横断的な労働市場は限定的にしか成立していなかったため,技術者採用でも新卒時は「技術系」程度の大括りの区分が用いられており,専門教育と卒業後の就業職種との対応は曖昧なものであった。

 第3は,人文科学や社会科学系の専門教育と事務・営業系の職種などの間にみられるさらに弱い結びつきである。戦後の国際的な経済発展を背景として,企業活動は拡大し,企業の数が増えると同時に大規模化が進み,また福祉国家化を背景に政府機能も拡大して,ホワイトカラー職種への需要は大幅に高まった。一方で,経済発展は高学歴化をもたらし,大卒者がホワイトカラー職種の供給源となった。日本では戦後,熟練人材の多くを失った中で復興期から高度経済成長期を迎え,ブルーカラーを含めて新卒者を企業内育成する経営方針がとられ,長期雇用を基本とする「日本型雇用」に結実していった。企業特殊的な能力の開発を効率的に行うためには,新入社員にはその基盤となる能力が求められると同時に可塑性の高さも重要視された。企業からは学生が「白紙であること」を評価するメッセージが発せられ,他方,大学は研究の府であることを志向し,職業教育には関心を持たなかった。両者の方向性は一致し,この領域でとくに,卒業後の仕事と大学での専門教育とは無関係であることを当然とする認識が広がった。

 大学進学者層がさらに拡大した現在,こうした専門教育と労働市場の関係のあり方は改めて見直すべき段階に入っており,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として「専門職大学」が創設されることになった。
著者: 小杉礼子

[専門職]

アメリカ合衆国のプロフェッショナル・スクールとアメリカ社会で認知されている専門職との関係を視座に日本社会を見ると,専門職という概念はまだ日本では一般化していないと思われるため,ここでは西洋社会での定義を基準に専門職を解説する。

 西洋社会での専門職とは神学,医学,法学など,すなわち聖職者,医者,弁護士などの職業が古典的専門職として認識されていた。20世紀初頭にフレックスナーが提示した専門職の定義(Flexner, A., 1925)によると,専門職が持つ特質には,①知的な職業であり,当該職業に従事している者が適切な選択を実施し,かつ判断を下す際に重大な責任を負っていること,②特定分野に関する高度な体系的知識を所持し,かつ長期間の教育訓練を受けていること,③体系的知識が現場で応用できうるように実践的な性格を持っていること,④特別な技術あるいは技能を要するだけでなく,知識だけで事態に対処できない場合には獲得した技能によって物事に対処できること,⑤専門職協会(professional association)が組織化されており,専門職協会が専門職教育の内容および専門職に参入する際の資格の認定などを規制していること,⑥当該職業に携わっている人物に公共への奉仕(public service)志向があることとなっている。

 この定義に基づき,専門職に要求されている高度な体系的知識と特別な技能という点から鑑みると,専門職が公示する技能は,高度に知的かつ科学的と捉えられる。したがって,こうした知識・技能の習得のためには,一定の特殊な教育・訓練,すなわち専門職教育が必要となり,かつ専門職教育を経て,一定の能力を持つと認められた者に対してのみ,国家あるいは社会が資格あるいは免許を授与することになる。

 資格や免許授与に専門職団体の果たす役割も大きい。専門職団体が組織化され,かつそれが専門職教育の内容および専門職への参入資格の認定を規制していることから,専門職は自己規制的共同体であると言い換えられる。専門職の自己規制的共同体という特質は,アメリカにおける専門職団体の専門職教育へのアクレディテーションや認可に関する基準の提示という側面に実際に示されている。一般の職業(occupation)と専門職を区別する諸特徴をまとめてみると,①知識や技能にみられる高度な科学性,②利潤非追求に根ざした利他主義,③倫理性を存在根拠とする自己規制的共同体の3点が挙げられる。今日のアメリカ社会では図書館司書,ソーシャル・ワーカー等がかねてから擬似専門職として議論されてきたが,MBA資格を持つ企業の経営幹部や大企業に雇用されているエンジニアも曖昧な領域と指摘されることもしばしばである。しかし,専門職という概念がアメリカ社会に定着していることは,医学,歯学,法律,ビジネス,神学系,教育系,福祉系,看護系の専門職を育成するプロフェッショナル・スクールが制度化されていることからも自明である。
著者: 山田礼子

[概説]◎医療系大学間共用試験実施評価機構:http://www. cato. umin. jp/09/0501qa. html

参考文献: 薬学共用試験ウェブサイト:http://www. phcat. or. jp

参考文献: 医学部(群馬大学)のカリキュラム:http://www. med. gunma-u. ac. jp/undergrad/curriculum. html

参考文献: 歯学部(長崎大学)の教育:http://www. de. nagasaki-u. ac. jp/admission/guide_index. html

参考文献: 小方直幸「21世紀の大卒労働市場―大学教育と企業の関係の行方」,絹川正吉・舘昭編著『学士課程教育の改革』東信堂,2004.

参考文献: 小方直幸「問われる教育の職業的レリバンス」,小方直幸編『大学から社会へ―人材育成と知の還元』リーディングス日本の高等教育4,玉川大学出版部,2011.

参考文献: 荒井克弘・塚原修一・山田圭一「科学技術者の高等教育に関する研究―科学技術者の側から見たその評価」,前掲『大学から社会へ―人材育成と知の還元』.

参考文献: 吉本圭一「大学教育と職業への移行―日欧比較調査結果より」,『高等教育研究』第4集(特集 大学・知識・市場),日本高等教育学会,2001.

[カリキュラム]◎井門富二夫『大学のカリキュラム』玉川大学出版部,1985.

参考文献: シェルダン・ロスブラット著,吉田文,杉谷裕美子訳『教養教育の系譜―アメリカ高等教育にみる専門主義との葛藤』玉川大学出版部,1999.

参考文献: 有本章編著『大学のカリキュラム改革』玉川大学出版部,2003.

参考文献: Ulrich Teichler, Akira Arimoto, William K. Cummings(eds.), The Changing Academic Profession: Major Findings of a Comparative Survey, Dordrecht: Springer, 2013.

[研究]◎文系学部卒業研究(岡山大学経済学部):http://www. e. okayama-u. ac. jp

参考文献: 群馬大学社会情報学部:https://www. si. gunma-u. ac. jp

参考文献: 天野郁夫『大学改革を問い直す』慶應義塾大学出版会,2013.

参考文献: 前掲,『大学から社会へ―人材育成と知の還元』.

[労働市場]◎金子元久『大学教育の再構築―学生を成長させる大学へ』玉川大学出版部,2013.

参考文献: 矢野眞和「新規大卒者の労働市場」『日本労働研究雑誌』No. 405,1993.

[専門職]◎Flexner, A., Medical Education: A Comparative Study, New York: Macmillan, 1925.

参考文献: Judith S. Glazer, The Master's Degree: Tradition, Diversity, Innovation, Washington, D.C.: Association for the Study of Higher Education, 1986.

参考文献: 橋本鉱市『専門職養成の日本的構造』玉川大学出版部,2009.

参考文献: 山田礼子『プロフェッショナルスクール―アメリカの専門職養成』玉川大学出版部,1998.

参考文献: 吉田文編著『「再」取得学歴を問う―専門職大学院の教育と学習』東信堂,2014.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「専門教育」の意味・わかりやすい解説

専門教育
せんもんきょういく

一般教育や普通教育に対し、特定の高度な知的および技術的な専門職業の準備を行う教育。後期中等教育(わが国の高等学校)および高等教育(旧制専門学校、短期大学、大学および大学院)段階における一般教育と対比される職業教育および専門教育を総称する。英米ではプロフェッショナル・エデュケーションprofessional education。広義には、将来の職業生活に必要な特別な教育課程を編成し、一般教育を含み、その基礎のうえに専門分化した高度な職業教育を総合する教育課程をさす。狭義には、聖職者、弁護士、医者、教師、技術家、著作家、研究者、芸術家等の専門職業人professionalsの養成を目ざし、その免許や資格証を与える専門職業教育をさす。この意味では、手工芸、手職および低いレベルの技術、家政、商業等の実業教育や職業教育vocational educationと区別される。欧米では、専門教育の基準は、本質的には社会奉仕の理念で貫かれ、体系的な知識や技能に基づき、長期の学問的および実践的な訓練を要求し、高度な自治や倫理綱領を有し、また職能的な成長を促進することにある。近年、科学技術の発達に伴い、専門分化や細分化が進み、分野ごとに専門職自身のヒエラルキーの出現とともに、専門教育の階層化が生じている。専門職業人の補助の訓練を受けた技師、准看護師、代用教員、助手などの准専門職業人para-professionalsの教育と、将来一人前の職業人になる専門教育の一課程としての半専門職業人semi-professionalsの教育(短期大学)がある。

[金子忠史]

『山田礼子著『プロフェッショナルスクール――アメリカの専門職養成』(1998・玉川大学出版部)』『舘昭編『短大からコミュニティ・カレッジへ――飛躍する世界の短期高等教育と日本の課題』(2002・東信堂)』

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改訂新版 世界大百科事典 「専門教育」の意味・わかりやすい解説

専門教育 (せんもんきょういく)

一定の職業に関して必要な専門的技能,知識を施し,あるいは学問の各種専門分野の研究者を養成する教育。普通教育ないし大学における一般教育に対置される概念。歴史的には,中世ヨーロッパにおいて僧侶,医者,弁護士などの高度な専門職養成のための,大学における神学,医学,法学などの教育を意味していた。今日では一般に,大学における学問の各専門分野の教育あるいは中等教育段階の専門的技能教育の両者を指している。日本では,制度上,大学の目的として,〈深く専門の学芸を教授研究する〉(学校教育法52条)と掲げられているように,大学は専門教育を行うことが要請されている。しかし,専門教育の内容は,専門職養成と直結したもの(医学など)から,それとほとんど関係のないもの(文学など)まで,各分野によってさまざまである。とくに,近年,一方での科学技術の高度化と学問の専門分化の進展,他方での大学の大衆化の進行のなかで,そのあり方が問われており,さらに戦後改革で導入された一般教育との関連が絶えず問題とされてきた。その結果,1991年の大学設置基準改定により,大学による専門教育と一般教育の科目区分はなくなった。高等学校においては,高等普通教育と専門教育を併せ施す(学校教育法41条)こととされているが,専門教育は,工・農・商など職業高校で職業教育として行われ,普通高校ではほとんど行われていなかったが,93年の高等学校設置基準改定により,一つの高校の中に,普通課程と職業課程を統合した総合学科を設置することができるようになった。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「専門教育」の意味・わかりやすい解説

専門教育
せんもんきょういく

特定の専門的な分野の教育または専門的な内容を授ける教育。医師 (医学) ,弁護士 (法学) ,技師 (工学) などの高度な専門職業に従事するための教育。旧制の専門学校または大学の教育。現学制では,高等学校は「高等普通教育および専門教育を施す」ものと定め,また大学では一般教育のあとに専門教育の課程をおいている。したがって普通教育,一般教育に対して,専門に分化した教育をさす場合が多い。

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世界大百科事典(旧版)内の専門教育の言及

【一般教育】より

…直接に職業準備や専門技術の習得をめざすものでなく,民主主義社会におけるすべての市民に共通に必要な教養を与えることを目的とする教育をさすが,とくに第2次大戦後の日本の大学において専門教育と対置して使われてきた。学生が専門的分野の教育・研究に入る前に,またはそれと並行して,人文科学,社会科学,自然科学の基本的な科目を学ぶことにより,広い学問的視野と開かれた世界観を身につけ,専門教育の基盤となる自由な思考と人間的教養を獲得することを目的とした。…

※「専門教育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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