日本大百科全書(ニッポニカ) 「専門学校(旧制)」の意味・わかりやすい解説
専門学校(旧制)
せんもんがっこう
旧学校制度における日本の高等教育機関の一類型。単科の専門教育を行った点で大学とは異なり、近代社会の実際的要求に即応するための機関として発達した。法律、医学、文学、宗教関係のものが多くを占めていた。1903年(明治36)の「専門学校令」をその基本法規とし、その目的は「高等の学術技芸に関する教育を施すこと」とされ、修業年限は3年以上、入学資格は中学校もしくは高等女学校卒業または同等と検定されること、とされた。この勅令により、それ以前からあった雑多な専門学校は統一され、実業学校のうち専門学校程度のものは実業専門学校として扱われることとなった。1903年には45校の専門学校が全国にあり、その過半数(27校)が私立であった。総数は16年(大正5)には倍の90校、新制大学発足直前の48年(昭和23)には356校を数えた。
専門学校令前後から、私立専門学校のなかに、文部省の許可を得て「大学」と名称変更するものがあったが、正規に帝国大学以外の官公私立大学の設置を認めたのは1918年(大正7)の「大学令」である。これによって、大学の名称をもつ私立専門学校、官公立の医学専門学校のすべて、官公立の実業専門学校の一部が大学に昇格した。第二次世界大戦後、新制大学が発足するにあたり、専門学校の多くは大学設置審議会の審査を経て新制大学となった。専門学校の制度は1953年(昭和28)の入学者を最後にその卒業とともに廃止された。第二次世界大戦前の時期を通じて専門学校は高等教育機関卒業者の7~8割を輩出しており、日本の近代化に果たした役割は大である。
なお、1975年に設けられた専修学校制度のなかで、専門学校の名称を用いることもできるようになったが、戦前のそれとは制度上の連続性をもたない。
[真野宮雄]