精選版 日本国語大辞典 「寝」の意味・読み・例文・類語
ね‐か・す【寝】
[1] 〘他サ五(四)〙 (「かす」は接尾語か)
① ねむるようにする。寝つくようにする。ねさす。ねかせる。
※俳諧・武玉川(1750‐76)三「寐かして置ていなのささ原」
② 物などを横にたおす。縦のものを横にする。横にならせる。ねかせる。
※雑俳・柳多留‐二(1767)「帆ばしらの立ったをねかす舟びくに」
③ 十分活用せずに手もとに置く。特に、商品や資金を使わずに、手もとに置いておく。ねかせる。
④ 麹(こうじ)、納豆(なっとう)などを室に入れて十分黴(かび)を発生させる。また、味噌(みそ)、醤油(しょうゆ)、酒などを仕込んで、熟成させる。ねかせる。
※菓子話船橋(1841)「饅頭皮製方〈略〉一夜ねかしおく時はよく熟(なる)なり」
[2] 〘他サ下二〙 ⇒ねかせる(寝)
ねか・せる【寝】
〘他サ下一〙 ねか・す 〘他サ下二〙
① =ねかす(寝)(一)①
② =ねかす(寝)(一)②
※俳諧・武玉川(1750‐76)九「寐かせば声の消る帆柱」
③ =ねかす(寝)(一)③
④ =ねかす(寝)(一)④
い‐ね【寝】
〘名〙 (動詞「いぬ(寝)」の連用形の名詞化)
① 寝ること。また、寝つき。
※日葡辞書(1603‐04)「Ineno(イネノ) ワルイ ヒト、または、ヨイ ヒト」
② 眠っている時のかっこう。寝相(ねぞう)。
※雑俳・たからの市(1705)「乗合の居寝のわるさに抱付て」
な・す【寝】
〘他サ四〙 (「ぬ(寝)」の他動詞形) 眠らせる。寝させる。
※万葉(8C後)五・八〇二「いづくより 来たりしものぞ 目(ま)な交(かひ)に もとなかかりて 安眠(やすい)し奈佐(ナサ)ぬ」
ね・れる【寝】
〘自ラ下一〙 (「ねる(寝)」の可能動詞) 寝ることができる。本来「寝られる」であるが、五(四)段活用からできた可能動詞「帰れる」「乗れる」などにひかれてできたいい方。
な・す【寝】
※古事記(712)上・歌謡「をとめの 那須(ナス)や板戸を 押そぶらひ 我が立たせれば 引こづらひ」
しん【寝】
〘名〙 寝ること。やすむこと。就寝。また、寝る場所。ねどこ。寝室。
※実隆公記‐享祿二年(1529)正月一日「遅明驚レ寝」 〔礼記‐間伝〕
ね‐さ・す【寝】
〘他サ五(四)〙 寝るようにする。寝るようにさせる。ねかす。
※咄本・鹿野武左衛門口伝はなし(1683)上「明ても暮てもながもちのすみにねさしておきたる故に」
ね・せる【寝】
〘他サ下一〙 ね・す 〘他サ下二〙 ねるようにする。ねかす。
※俳諧・落穂集(1663)三「やにこきをねせて置ぬるたばこ哉〈詞顕〉」
しな・す【寝】
〘他サ四〙 寝さす。ねむらせる。
※塵袋(1264‐88頃)一〇「人をねさするをしなすと云ふは」
ね・す【寝】
〘他サ下二〙 ⇒ねせる(寝)
ぬ【寝】
〘自ナ下二〙 ⇒ねる(寝)
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