寝鳥(読み)ねとり

精選版 日本国語大辞典 「寝鳥」の意味・読み・例文・類語

ね‐とり【寝鳥】

〘名〙
① ねぐらに寝ている鳥。ねぐらどり。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
浮世草子好色五人女(1686)五「くれ竹のそよぐに寐鳥(ネトリ)さはぎて」
② 歌舞伎下座音楽の一つ。幽霊妖怪人魂などの出現に用いる大太鼓のどろどろにかぶせて、凄みを帯びた場面や寂しい気分表現に吹く能管。寝鳥の笛。
※歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)四立「トうすどろどろ寐鳥になり、釣鐘龍頭にかけてある守り袋より、焼酎火もゆる」

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デジタル大辞泉 「寝鳥」の意味・読み・例文・類語

ね‐とり【寝鳥】

ねぐらで寝ている鳥。ねぐら鳥。
《「音取ねとり」から》歌舞伎下座音楽の一。幽霊・妖怪・人魂ひとだまなどの出現の際に大太鼓のどろどろにかぶせて寂しく、不気味に吹く能管。寝鳥の笛。

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世界大百科事典(旧版)内の寝鳥の言及

【歌舞伎】より

…〈(さざなみ)〉〈大波〉などの種類がある。 寝鳥(ねとり)大太鼓の〈ドロドロ〉に吹き合わせて凄みや寂しさを強調する,能管による囃子。〈寝鳥合方〉に打ち合わせることが多い。…

【音取】より

… 歌舞伎囃子にも能管に同名の旋律がある。ただし,この場合は〈寝鳥〉と書く。ポルタメントで山型に上下行するもので,多くは大太鼓のドロドロといっしょに,幽霊や妖怪の登場する場面に用いられる。…

※「寝鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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