富岡市(読み)トミオカシ

デジタル大辞泉 「富岡市」の意味・読み・例文・類語

とみおか‐し〔とみをか‐〕【富岡市】

富岡

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日本歴史地名大系 「富岡市」の解説

富岡市
とみおかし

面積:九三・六三平方キロ

県の西南部に位置し、東は多野たの吉井よしい町と甘楽かんら郡甘楽町、西は同郡下仁田しもにた町、南は甘楽町、北は同郡妙義みようぎ町と安中市に接する。旧甘楽郡内平野部のおおむね中央部にあたる。中央をかぶら川が東流し、西部と南部はそれぞれ大桁おおげた(八三五・九メートル)山系と稲含いなふくみ(一三七〇メートル)山系の山地となる。国道二五四号が中央部を東西に抜け、ほぼ沿って上信電鉄が通り、上州富岡・西富岡・上州七日市なのかいち・上州いちみや神農原かのはら南蛇井なんじやい千平せんだいらの各駅が開設している。三方を丘陵・山に囲まれて盆地性の気候を示すが、冬の季節風も穏やかで雨量も比較的少なく、降雪もまれで気象災害は少ない。

〔原始・古代〕

旧石器時代の遺跡は発見されていないが、額部ぬかべ地区から槍先形石器が表面採集された。また上黒岩かみくろいわから寛政九年(一七九七)オオツノシカの化石が発見され、旧藩主家を通じて現在七日市蛇宮じやぐう神社に奉納されている。出土地から約二万年前の姶良Tn火山灰層が確認されたことから、今後この時代の遺跡存在が期待されている。縄文時代に入ると、上丹生かみにゆうの標高三三二メートル付近から早期の押型文土器が発見されたのをはじめ、小野おの地区では後賀ごか(中期)相野田あいのた(中期)高田たかた川沿岸の七日市観音前かんのんまえ(中期)黒川くろかわ(中期)高瀬たかせ地区では内匠たくみ(中期・後期)、額部地区で南後箇の原みなみごかのはら(前期)菅原すがはら(後期)野上のがみ(後期)、一ノ宮地区で宇田うだ田島たじま(中期・後期)本宿もとじゆく郷土ごうど(前期・中期)、丹生地区で下丹生(中期)、上丹生(前期―後期)などで発見されている。弥生時代になると遺跡は集落的なものは確認されておらず、墓地とみられるものが多い。そのなかで中期後半の集落遺跡とみられるのが黒川地内の小塚こづか遺跡で、竪穴住居跡七軒、貯蔵用穴・墓穴遺構等一二基、溝跡三本などをもつ環濠集落であった。遺物は長野県との関連が認められるとともに、南関東的要素をもっているとみられる。その他後期の遺跡とみられるものが、宇田・野上・田篠たじの・上丹生・南後箇・岡本おかもとなどにある。只川ただかわ橋下からわずかに下仁田町に寄った鏑川下位段丘崖の岩陰遺跡からは、後期末とみられる土器・石器と人骨が発見され、南蛇井の三笠山みかさやま岩陰遺跡(標高三六〇メートル)は後期遺跡で焼人骨数百片、抜歯の痕跡をもつ顎骨片が発見された。

古墳時代では、南後箇字北山の茶臼山きたやまのちやうすやま古墳が当市を含めて鏑川流域では最も初期、四世紀末のものとみられる。

富岡市
とみおかし

2006年3月27日:富岡市と甘楽郡妙義町が合併
【妙義町】群馬県:甘楽郡
【富岡市】群馬県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「富岡市」の意味・わかりやすい解説

富岡〔市〕
とみおか

群馬県南西部,利根川の支流鏑川中流部を占める市。1954年富岡町に一ノ宮町と黒岩村小野村高瀬村,額部村の 4村を編入して市制。1955年吉田村,1959年福島町の一部,1960年丹生村をそれぞれ編入。2006年妙義町と合体。中心市街地の富岡は,江戸時代には中山道脇往還である信濃別路の宿場町として発達。市場町も兼ね,生糸,雑貨などの取り引きで繁栄した。明治5(1872)年富岡製糸場が設置され,1987年の操業停止後は,国の史跡・重要文化財に指定され公開されている。2014年,製糸場ほか近隣の 3施設が「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産の文化遺産に登録された。近年は電気機器の部品製造が盛ん。農村部ではネギなどの野菜栽培,花卉園芸が行なわれている。上野(こうずけ)一宮の貫前神社(ぬきさきじんじゃ)は本殿,拝殿などが国の重要文化財に指定されている。市街地郊外の中高瀬観音山遺跡は国の史跡に指定。市域北西端に国の名勝妙義山がそびえ,一帯は妙義荒船佐久高原国定公園に属する。山麓に妙義神社があり,本殿などが国の重要文化財に指定されている。市街地を上信電鉄,国道254号線が通り,南部に上信越自動車道の富岡インターチェンジがある。面積 122.85km2人口 4万7446(2020)。

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