富山県冤罪・再審事件(読み)とやまけんえんざいさいしんじけん

知恵蔵 「富山県冤罪・再審事件」の解説

富山県冤罪・再審事件

富山県氷見市で2002年に起きた2件の強姦、強姦未遂事件で逮捕・起訴された県内の男性が懲役3年の実刑判決を受け、05年1月に仮出所するまで約2年1カ月服役した。ところが06年8月、別の事件で逮捕・起訴された男がこの2件への関与を自白し、男性の無実が分かった。富山地検高岡支部が男性の再審を請求、富山地裁高岡支部が07年4月に再審開始を決定。8月の再審公判で検察側は男性の無罪を求め、同支部は10月の判決で無罪を言い渡した。検察側が控訴する権利を放棄したため、男性の無罪が確定した。一方、真犯人の男はこの2事件を含む計14件の強姦、強姦未遂罪に問われ、9月5日の論告求刑公判で、検察側は「無期懲役の求刑も考慮するべき事案だが、積極的な告白が真犯人でない者が逮捕されていたことの発覚につながった」と懲役30年を求刑した。ずさんな捜査が批判され、最高検は8月に問題点と再発防止策を報告書にまとめた。この中で、アリバイ調査や足の大きさの照合が不十分だっただけでなく、「誘導的な取り調べがなされた可能性がある」と指摘した。

(緒方健二 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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