寄生去勢(読み)きせいきょせい

精選版 日本国語大辞典 「寄生去勢」の意味・読み・例文・類語

きせい‐きょせい【寄生去勢】

〘名〙 寄生されたために、宿主動物生殖器が退化したり性徴変化が起こったりすること。フクロムシに寄生されたカニのサックリナ去勢など。

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デジタル大辞泉 「寄生去勢」の意味・読み・例文・類語

きせい‐きょせい【寄生去勢】

寄生された宿主の生殖巣が破壊されたり性徴に変化をきたしたりすること。フクロムシに寄生されたイソガニ・アブラガニの雄が雌のようになるなど。

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百科事典マイペディア 「寄生去勢」の意味・わかりやすい解説

寄生去勢【きせいきょせい】

寄生虫寄生を受けた動物が,あたかも生殖腺除去(去勢)されたときのように性形質に変化を生ずる現象フクロムシ類に寄生された雄のカニの雌化や,ヤドリムシ類に寄生されて精巣が卵巣化するエビ・カニ類などがその好例。寄生によって造雄腺発達が抑えられ,造雄腺ホルモンの分泌障害が起こるのが原因と考えられる。なお,昆虫類で寄生虫によって性徴変化が起こる現象についても寄生去勢と呼ぶことがある。
→関連項目イワガニ去勢

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寄生去勢」の意味・わかりやすい解説

寄生去勢
きせいきょせい
parasitic castration

寄生により宿主の性的形質に異常をきたすこと。雄のカニ類がフクロムシの寄生で雌型化する例や,ヒメハナバチに対するネジレバネ類の昆虫スチロプス Stylops rossiiの寄生などがよく知られている。去勢される過程については,生殖腺破壊が原因となるものもあるが,複雑な場合が多く定説がない。

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世界大百科事典(旧版)内の寄生去勢の言及

【去勢】より

…なお,古くは去勢された雄ウマを騸(せん),雄ウシを閹(えん)牛と呼んだ。【正田 陽一】
[寄生去勢parasitic castration]
 寄生によって宿主の生殖腺や二次性徴に変化を生じることであるが,その変化の程度はいろいろで,真の意味での去勢の語がむしろ不適当な場合も多い。最もよく知られているのはフクロムシやナガフクロムシ類(甲殻綱蔓脚(まんきやく)類)がカニやヤドカリ類(甲殻綱十脚類)の腹部に寄生して起こるサッキュリナ去勢と,エビヤドリムシやカニヤドリムシ類(甲殻綱等脚類)がエビやカニ類(甲殻綱十脚類)のえらや腹部に寄生して起こるエピカリダ去勢である。…

※「寄生去勢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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