寄付行為(読み)キフコウイ

デジタル大辞泉 「寄付行為」の意味・読み・例文・類語

きふ‐こうい〔‐カウヰ〕【寄付行為/寄附行為】

寄付をすること。
(寄附行為学校法人や、財団法人認可を受けた医療法人定款をいう。
[補説]平成20年(2008)の民法改正以前は、財団法人の定款、および財団法人を設立するために財産を拠出することを「寄附行為」といった。

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精選版 日本国語大辞典 「寄付行為」の意味・読み・例文・類語

きふ‐こうい ‥カウヰ【寄付行為】

〘名〙
一定の財産を無償で提供して財団法人を設立する行為。
② 財団法人の根本規則。財団法人設立の際、書面に表示されるもので、社団法人の定款にあたる。
※民法(明治二九年)(1896)三九条「財団法人の設立者は其設立を目的とする寄附行為を以て」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寄付行為」の意味・わかりやすい解説

寄付行為
きふこうい

日常用語では寄付をする行為をいうが、法律用語では、2006年(平成18)の民法改正(2008年12月1日施行)前においては、(1)財団法人の設立行為と、(2)書面に記載された財団法人の根本規則を意味していた。法令上は「寄附行為」と表記される。

 改正後の民法と新たに制定された法人関係法(一般法人法公益法人認定法など)の施行(2008年12月1日)後は、一般法人については、(1)は設立者による「財産の拠出」とよばれるようになり(一般法人法153条1項5号、157条~158条)、(2)は社団法人と同様に「定款」とよばれるようになった(一般法人法152条)。

 なお、一般法人ではない法人については、医療法による医療法人のうちの財団型医療法人や私立学校法による学校法人に関して「寄附行為」が用いられるなど、従来どおりの概念が用いられている。

淡路剛久

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改訂新版 世界大百科事典 「寄付行為」の意味・わかりやすい解説

寄付行為 (きふこうい)

公共事業などに金銭や物を贈ることを寄付というが,寄付行為という場合は法律用語で,財団法人を設立する行為をいう。財団法人を設立するためには,設立者が財団設立の意思をもって一定の財産を提供し,同時にその財団法人の根本規則を定めることを要し,これを寄付行為と呼ぶ。この寄付行為は,生前にももちろん行うことができるが,遺言でも行うことができる(民法41,42条)。財団法人の設立は,公益事業を目的とする場合にのみ許されるから,寄付行為は公益目的のためのみに許されるということになる。寄付行為という用語は,また,財団法人の根本規則をも指す。これは社団法人の定款に相当するもので,目的,名称,事務所,資産に関する規定,理事の任免に関する規定等を必ず記載しなければならないが,財団法人は社員の存在を前提としていないため,社員に関する規定をおかない点で定款と異なる(39条)。
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百科事典マイペディア 「寄付行為」の意味・わかりやすい解説

寄付行為【きふこうい】

法律上はいわゆる寄付(贈与一種)をすることの意ではない。法令上は〈寄附行為〉と書く。1.財団法人を設立する行為(民法39条以下)。すなわち一定の公益目的のために財産を出捐(しゅつえん)し,法人の根本目的を定めて書面に記載する行為。生前処分でも遺言でもできる。2.財団法人の根本規則。書面に作成され,少なくとも,法人の目的・名称・事務所・資産に関する規定,理事の任免に関する規定を含まなければならない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寄付行為」の意味・わかりやすい解説

寄付行為
きふこうい

財団法人の設立行為をいう。これには,財団の根本規則をつくって主務官庁の許可を得なければならない。この根本規則は社団法人の定款にあたり,この規則自体も寄付行為という。寄付行為は遺言でもすることができる (民法 39~42) 。いったん確定した寄付行為は原則として後日これを変更することはできない。財団法人には社団法人と違って社員総会がないからである。ただし,寄付行為自体に変更方法を定めてある場合や基本的寄付行為事項以外の事項 (名称,事務所,理事の任免方法など) は変更できるものと解されている。

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世界大百科事典(旧版)内の寄付行為の言及

【財団法人】より

…設立にあたっては,まず,設立者が財団法人設立の意思をもって一定の財産を出捐(しゆつえん)し,同時にその財団法人の根本規則を定めなければならない(39条)。これを寄付行為という。財団法人の根本規則を定めた書面も寄付行為といわれるが(狭義の寄付行為),これには最小限,目的,名称,事務所,資産に関する規定,理事の任免に関する規定などが定められていなければならない(39条)。…

※「寄付行為」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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