寂滅(読み)じゃくめつ

精選版 日本国語大辞典 「寂滅」の意味・読み・例文・類語

じゃく‐めつ【寂滅】

〘名〙 (nirvāṇa の訳語涅槃(ねはん)と音訳する)
仏語。迷いの世界を離脱している境界無明煩悩の境界を離れた悟りの境地。また、その境地にいたること。
法華義疏(7C前)一「一乗法謂第一寂滅、何則寂滅是不動之謂也。三乗法動於一乗、故非寂滅、今日一乗法、更無遷動、故云寂滅
② 消えてなくなること。ほろびること。死ぬこと。死。
※東帰集(1364頃)観音賛「無心而応世、善悪倶寂滅」
集義和書(1676頃)一二「前悪を懺悔して後、寂滅をねがはむとするものなり」 〔陳子昂‐感遇詩〕

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デジタル大辞泉 「寂滅」の意味・読み・例文・類語

じゃく‐めつ【寂滅】

[名](スル)《〈梵〉nirvāṇaの訳。音写涅槃ねはん
仏語。煩悩ぼんのうの境地を離れ、悟りの境地に入ること。涅槃。
消滅すること。死ぬこと。
「八十一歳にしてクシナガラという所に―した」〈賢治・ビジテリアン大祭〉
[類語]遷化涅槃示寂入寂入定入滅

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普及版 字通 「寂滅」の読み・字形・画数・意味

【寂滅】じやくめつ

ひっそりと消える。

字通「寂」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の寂滅の言及

【涅槃】より

…サンスクリットのニルバーナnirvāṇaをなまった俗語からの音写語と考えられ,そのほか泥洹(ないおん),泥曰(ないおつ),などとも表記される。〈吹き消された〉ことという意味に起源する語で,本来は生命の火が吹き消された状態,すなわち〈死〉を意味するので,滅度(めつど),寂滅(じやくめつ)などと訳された。この語は,仏教では最初釈迦の死を意味したところから,後になって〈迷いの燃えさかる火を完全に消し,悟りに入った境地〉という解釈がつけ加えられた。…

※「寂滅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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