寂寂(読み)さびさび

精選版 日本国語大辞典 「寂寂」の意味・読み・例文・類語

さび‐さび【寂寂】

[1] 〘〙 (「さび()」を重ねて強調した語。多く「と」を伴って用いる)
① いかにもさびしい様子であることを表わす語。さびしげに。
※中華若木抄(1520頃)中「柳も葉が疎にして、さびさびとありて」
閑寂な趣のあるさまを表わす語。かれがれとして。
※花鏡(1424)比判之事「さびさびとしたる中(うち)に、何とやらん感心のある所あり」
[2] 〘形動〙 さびしいさま。多く女房詞として用いる。
※御湯殿上日記‐文明一七年(1485)五月一一日「御さひさひのおりふしにて御さか月まいりて」

せき‐せき【寂寂】

〘形動タリ〙 (「せき」は「寂」の漢音) ひっそりとして、さびしいさま。寂然(せきぜん)寂寥(せきりょう)。じゃくじゃく。
※文華秀麗集(818)下・冷然院各賦一物、得澗底松〈嵯峨天皇〉「高声寂寂寒炎節、古色蒼蒼暗夕陽
※源平盛衰記(14C前)一一「寂々(セキセキ)たる臥戸に、泪(なみだ)泉に咽べども、巴峡(はかう)秋深ければ、嶺猿のみ叫けり」 〔左思‐詠史詩〕

じゃく‐じゃく【寂寂】

〘形動タリ〙 (「じゃく」は「寂」の呉音)
① ひっそりとして、さびしいさま。寂然(せきぜん)。せきせき。
※曾我物語(南北朝頃)一「孟冬うつりきたりて、紅葉嵐にたえ、りういんけんかとうしゃくしゃくたり」
② 何も考えないさま。無心のさま。無念無想のさま。「空空寂寂」
太平記(14C後)二〇「心に妄想を払て、寂々(シャクシャク)としてぞ居たりける」

さくざく‐し【寂寂】

〘形シク〙 (「そうぞうし(さうざうし)」の古形) 心が楽しまない。さびしい。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕

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デジタル大辞泉 「寂寂」の意味・読み・例文・類語

じゃく‐じゃく【寂寂】

[ト・タル][文][形動タリ]
ひっそりとして寂しいさま。
「―たる無人のに」〈荷風・ふらんす物語〉
無心なさま。何も考えることのないさま。
「心に妄想を払って、―としてぞ居たりける」〈太平記・二〇〉

さび‐さび【寂寂】

[副]いかにも寂しげなさま。
「からまつの林の道は…ほそぼそと通う道なり。―といそぐ道なり」〈白秋・落葉松〉

せき‐せき【寂寂】

[ト・タル][文][形動タリ]もの寂しいさま。ひっそりとしたさま。じゃくじゃく。「寂寂たる深山幽谷」
[類語]静かひそやかしめやか静寂静粛静閑閑静閑散閑寂清閑しじま森閑深深しんしん森森しんしん沈沈ちんちんせき・じゃく寂然せきぜん・じゃくねんげき闃然げきぜん粛然

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普及版 字通 「寂寂」の読み・字形・画数・意味

【寂寂】せきせき・じやくじやく

さびしく、しずか。唐・王維〔寒食上の〕詩 寂寂たり、山にく鳥 楊柳たり、水を渡るの人

字通「寂」の項目を見る

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