宿木・寄木・寄生木(読み)やどりぎ

精選版 日本国語大辞典 「宿木・寄木・寄生木」の意味・読み・例文・類語

やどり‐ぎ【宿木・寄木・寄生木】

[1] 〘名〙 (古くは「やどりき」)
① 一般に他の植物に寄生、半寄生または着生する植物の総称ヤドリギ・ツクバネやツタなど。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「ややもせば枝さしまさる木の下にただやどり木と思ふばかりを」
ヤドリギ科の常緑小低木。各地でエノキ、クリ、サクラ、ケヤキなどの枝上に寄生する。高さ〇・五~一メートル。二叉または三叉に枝分かれして全体球形に茂る。茎はまるく柔らかいが強い。倒披針形革質の葉を対生する。雌雄異株。早春、枝先の葉の間に柄のない黄色の小花をつける。果実は球形で淡黄色ないし赤色に熟し、粘質物に包まれた種子が一個はいっていて、果実を食べる鳥の嘴(くちばし)などにねばりついて散らばる。漢名に檞寄生をあてる。ほい。ほや。ほよ。とびづた。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
③ ①から転じて、他に頼ったり他人の世話を受けたりすること。また、その人。
五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉一八「人の仕事に寄生木(ヤドリギ)となるも厭なら我が仕事に寄生木(ヤドリギ)を容るるも虫が嫌へば是非がない」
[2] (宿木) 「源氏物語」第四九帖の名。宇治十帖の第五。薫二四歳の春から二六歳の四月まで。匂宮と夕霧六の君の結婚に悲嘆する中君と、それに接近してゆく薫、中君の出産、さらに薫の前に浮舟が出現することなどを描く。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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