宿坊・宿房(読み)しゅくぼう

精選版 日本国語大辞典 「宿坊・宿房」の意味・読み・例文・類語

しゅく‐ぼう ‥バウ【宿坊・宿房】

〘名〙
① (━する) 宿舎。また、そこに宿泊すること。
※参天台五台山記(1072‐73)一「宿坊壁上懸阿閦仏真言
② 出張の僧または参詣人の宿泊に当てられた寺坊。宿院(しゅくいん)
吾妻鏡‐治承四年(1180)八月二四日「行実之宿坊者。参詣緇素群集之間。隠密事称其便
太平記(14C後)二「住吉神主。〈略〉、宿坊の柱に一首の歌をぞ書付たる」
檀徒(だんと)が自分の属している寺院、またはその住持をいう語。
※浮世草子・浮世親仁形気(1720)三「此中も斎(とき)に参られた旦那寺の宿坊(シュクバウ)聞れて、肝をつぶされ、今文殊とほめられました」
④ 僧自身の僧坊
今昔(1120頃か)一一「道照、夜は宿房に返り、昼は三蔵の所に行て、習ふ事既に一年有て」
神事潔斎のために神官がこもる建物。斎殿(いみどの)
※神宮雑例集(1202‐10頃)「宮司成庁宣〈略〉宿坊号忌殿造立事」
⑥ 男女のとりもちをし、またはひそかに会わせる宿。色宿。
洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)二「青楼(シュクボウ)へずっと入ると、紅裙(なかひ)が、燭台をもって、楼上(にかい)へ登ると」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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