家政婦(読み)カセイフ

デジタル大辞泉 「家政婦」の意味・読み・例文・類語

かせい‐ふ【家政婦】

家事の手伝いに雇われる職業婦人
[類語]女中お手伝いさんメード派出婦ねえやハウスキーパー婆やお三おさんどん仲働き仲居御殿女中侍女

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「家政婦」の意味・読み・例文・類語

かせい‐ふ【家政婦】

〘名〙 家庭の日常生活の処理をするためにやとわれる女性
放浪記(1928‐29)〈林芙美子〉「家政婦のお菊さんが、台所で美味しさうな五目寿司を拵へてゐるのを見てとても嬉しくなった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「家政婦」の意味・わかりやすい解説

家政婦 (かせいふ)
housekeeper

主として個人の家庭に雇われて家事に従事する女性。イギリスでハウスキーパーの名称で呼ばれるものは時代によって,また雇用先の社会階層によってさまざまな変化が見られる。だが概して,多くの家事使用人を雇用する中流階級上層以上の家庭に住み込み,みずからは家事に手を染めなくなった女主人のもとで,下級の女子使用人(女中,乳母,料理女など)を監督し,家政全般を管理する相当の責任を有する立場にあった。男子使用人の場合の執事や家令に匹敵する役割である。また,シャーロット・ブロンテの小説《ジェーン・エア》の中のフェアファックス夫人のように,母親のいない家庭に雇われ,家族員との間にきわめて緊密な結びつきを維持する家政婦もいた。下級使用人と違って,終身雇用のケースが多かった。住込みの家事奉公が減少してきた現在では,ホテル,病院などの施設で清掃・整理に責任をもち,作業に必要な道具の購入保管を行い,みずからも清掃労働に従事するが,主として下級者に仕事を割り当て監督するものをも指すようになった。日本では,家政婦という言葉は派出婦,付添婦などとも同義で,〈家政〉という高次概念の言葉がもつ内容からすれば,一般には料理・裁縫などの家事を行うというかなり卑俗な内容のものとして幅広く使われることが多い。雇用形態はパートタイム,日雇いまたは期限付きの臨時契約が普通であるが,長期無期限契約もある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「家政婦」の意味・わかりやすい解説

家政婦
かせいふ

家政一般を手伝う職業婦人のこと。かつては派出婦(はしゅつふ)ともよばれていた。第二次世界大戦前は、旧職業紹介法第21条「営利職業紹介事業規則」で職業紹介対象者とされ、戦後、職業安定法が制定されたとき(1947)その第32条で、特別の技術を必要とするものとして有料職業紹介が認められることになった。さらに1951年(昭和26)、同法施行規則第24条に家政婦が職種として追加され、今日に至っている。そこでは、家政婦とは「個人の家庭において、臨時に家政一般もしくは病弱者等の付添いの業務を行う者、または病院等において患者の付添いの業務を行う者」としている。普通家政婦は、公共職業安定所の許可を得た有料職業紹介所である「家政婦紹介所」を通じて紹介される。55年ごろからは民間企業において、家政婦を社員として雇い、社員家庭にホームヘルパーとして派遣する制度が始まった。この場合の標準作業は、病人、乳幼児の世話、出産や産後の世話などとなっている。

 なお欧米などでは、「公共居住施設の管理」としてハウスキーパーという職種もある。これは、家政婦の活動が、個々の家庭内から、さらに公共居住施設にまで広がったことを意味している。

[松岡明子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android