家寛(読み)けかん

朝日日本歴史人物事典 「家寛」の解説

家寛

生年生没年不詳
平安末期に活躍した天台宗大原流の声明家。字は乗(常)楽房。大原流中興の祖とされる良忍弟子後白河法皇の声明師範であったと伝えられ,承安2(1172)年または同3年に,法皇の請をうけて『声明集』を編述した。これが,大原流で現在も規範として尊重される,いわゆる魚山版の『六巻帖』の原本となったという。

(高橋美都)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家寛」の意味・わかりやすい解説

家寛
けかん

12世紀後期の天台宗大原流の声明家。良忍の高弟。後白河法皇の声明師範をつとめた。承安2 (1172) 年 (その翌年という説もある) ,法皇の請により『声明集二巻抄』を撰し,『声明集序』を献上した。これがのちに宗快編の『声明集』や憲真編の『六巻帖』の原本となった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「家寛」の解説

家寛 けかん

?-? 平安時代後期の僧。
良忍に天台宗大原流声明(しょうみょう)をまなぶ。後白河法皇の声明師範で,承安(じょうあん)3年(1173)法皇の要請により「魚山声明集」を編集した。通称は瓦坂法印。号は乗(常)楽房。

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世界大百科事典(旧版)内の家寛の言及

【魚山声明六巻帖】より

…《魚山顕密声明集略本》《魚山集略(本)》《魚山六巻帖》《六巻帖》《声明集》などの名称を持つ。1172年(承安2)または73年良忍の高弟家寛(けかん)は,後白河法皇に声明を伝授するにあたって,声明集を選上した。のちに,この声明集から常用の曲を抄出して6巻(6帖)の体裁としたものが現れ,これが通称〈六巻帖〉の名で天台声明の基本的な曲集の位置を占めるにいたった。…

※「家寛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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