宰(漢字)

普及版 字通 「宰(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] サイ
[字訓] つかさどる・おさ・おさめる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+辛(しん)。宀は宋宮室の建物。辛は大きな把手のある曲刀の象。牲肉を切る丁である。宗に犠牲を供するとき、天子鸞刀(らんとう)を用いるが、これを宰割するのはおおむね長老の職とするところであり、その人を宰といった。それで宰領・宰輔の意となる。〔説文七下に「人(ざいにん)なり。屋下に在りて事を執るなり」とするのは、辛を罪人に入墨する辛(はり)と解したのであろうが、この辛は宰割に用いる曲刀をいう。周の金文にみえる善夫は膳夫。宰と善夫とは、西周期には王の重臣として宰輔の職にあった。

[訓義]
1. 犠牲を切る、祭肉を供する、ほふる。
2. 祭祀をつかさどる、政務をつかさどる、諸事をつかさどる、おさめる。
3. つかさどる人、長官、家宰、みこともち、おさ、かしら
4. ととのえる、きりもりする。
5. 采と通じ、知行

[古辞書の訓]
名義抄〕宰 ツカサドル・モト・オサム・ヤシナフ・ヨク・サク・クラフ・ワカツ 〔字鏡集〕宰 ツクロフ・ツカサドル・ツカサ・ヤシナフ・モト・サク・ツクル・オサム・クラフ・ヨク・ワカツ

[声系]
〔説文〕に宰声として滓(し)など三字を収める。滓はまたに作り、(さい)の声義を承ける字。宰の声義を承けるとみるべき字はない。

[熟語]
宰尹・宰割・宰官・宰貴・宰牛・宰御・宰業・宰君・宰宰衡・宰祭・宰殺・宰士・宰司宰執・宰社宰爵・宰主・宰守・宰祝宰匠宰相・宰職宰臣・宰人宰隧・宰制・宰世・宰治宰廷・宰庭宰弼・宰府・宰夫・宰物・宰柄・宰輔宰牧・宰木宰虜・宰老・宰録
[下接語]
王宰・家宰・宮宰・君宰・宰・社宰・主宰・州宰・上宰・真宰・膳宰・太宰・台宰・廚宰冢宰・朝宰・天宰・内宰・副宰・宰・烹宰・名宰・明宰・邑宰・里宰・良宰

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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