宮本輝(読み)ミヤモトテル

デジタル大辞泉 「宮本輝」の意味・読み・例文・類語

みやもと‐てる【宮本輝】

[1947~ ]小説家兵庫の生まれ。本名正仁まさひと。広告代理店勤務ののち文筆活動に入る。「蛍川」で芥川賞受賞エッセイストとしても人気が高い。他に「泥の河」「道頓堀川」「優駿」「人間の幸福」「月光の東」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮本輝」の意味・わかりやすい解説

宮本輝
みやもとてる
(1947― )

小説家。本名正仁(まさひと)。兵庫県に生まれる。1970年(昭和45)追手門学院大学文学部卒業。『泥の河』(1977)で第13回太宰治(だざいおさむ)賞を受け認められた。同年『螢川』で芥川(あくたがわ)賞を受賞し、清新な作風が注目された。続いて『幻の光』(1979)を発表。繊細な叙情性により人生の機微を謳(うた)い上げ地位を確立する。ほかに『道頓堀川(どうとんぼりがわ)』(1981)、『青が散る』(1982)、『錦繍(きんしゅう)』(1982)、『流転(るてん)の海』第1~3部(1984、1992、1996)、『春の夢』(1984)、『ドナウの旅人』(1985)などの作品に続いて『優駿』(1986。吉川英治文学賞受賞)、『五千回の生死』(1987)、『愉楽の園』(1989)、『海岸列車』(1989)、『海辺の扉』(1991)、『ここに地終わり海始まる』(1991)、『彗星(すいせい)物語』(1992)、『朝の歓(よろこ)び』(1994)、『人間の幸福』(1995)、『焚火(たきび)の終わり』(1997)、『月光の東』(1998)などがある。またエッセイ集として『二十歳(はたち)の火影(ほかげ)』(1980)、『本をつんだ小舟』(1993)などがあって、エッセイストとしても名声がある。

[金子昌夫]

『『宮本輝全集』全14巻(1992~93・新潮社)』『『ひとたびはポプラに臥す』全6冊(1997~2000・講談社)』『『月光の東』(1998・中央公論新社)』『『泥の河』『道頓堀川』(角川文庫)』『『幻の光』(新潮文庫)』『『優駿』(新潮文庫)』『『愉楽の園』(文春文庫)』『『海辺の扉』(角川文庫)』『『海岸列車』(文春文庫)』『『ここに地終り海始まる』(講談社文庫)』『『彗星物語』(角川文庫)』『『朝の歓び』(講談社文庫)』『『焚火の終わり』(集英社文庫)』『二瓶浩明編『宮本輝書誌』(1992・和泉書院)』『酒井英行著『宮本輝論』(1998・翰林書房)』

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百科事典マイペディア 「宮本輝」の意味・わかりやすい解説

宮本輝【みやもとてる】

小説家。本名正仁。兵庫県生れ。追手門学院大卒。市井の片隅に生きる大人たちの世界を少年の眼を通して描き,太宰治賞を受賞した《泥の河》(1977年),第78回芥川賞受賞作《蛍川》(1977年),そして《道頓堀川》を加えた川三部作で幅広い読者層を得る。他の作品に《錦繍》《ドナウの旅人》や《優駿》(吉川英治文学賞)などがある。2010年紫綬褒章受章。
→関連項目小栗康平

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮本輝」の意味・わかりやすい解説

宮本輝
みやもとてる

[生]1947.3.6. 兵庫
小説家。 1970年追手門学院大学文学部卒業。広告代理店に勤めたが,作家を志して退社,同人誌『わが仲間』に参加する。 1977年『泥の河』で太宰治賞,翌年『螢川』で芥川賞を受賞。市井の人々の運命を古風に,叙情的に描いて多くの読者を得た。これに『道頓堀川』 (1981) を加えて,「川三部作」と呼ぶ。『優駿』 (86) で吉川英治文学賞を受賞。『青が散る』 (82) ,『海岸列車』 (89) などは,一見青春小説のようにみえながら,人間を凝視する純文学の目に裏打ちされている。また,多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宮本輝」の解説

宮本輝 みやもと-てる

1947- 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和22年3月6日生まれ。広告代理店勤務をへて文筆生活にはいり,昭和52年「泥の河」で太宰治(だざい-おさむ)賞,53年「蛍川」で芥川賞。社会の片隅にいきる人たちの宿命を叙情ゆたかにえがく作風で注目される。平成22年「骸骨ビルの庭」で司馬遼太郎賞。作品はほかに「道頓堀川」,「優駿」(62年吉川英治文学賞),「朝の歓び」「草原の椅子」など。兵庫県出身。追手門学院大卒。本名は正仁。

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