宮崎[県](読み)みやざき

百科事典マイペディア 「宮崎[県]」の意味・わかりやすい解説

宮崎[県]【みやざき】

九州地方南東部,日向灘(ひゅうがなだ)に面する県。県庁所在地は宮崎市。7735.31km2。113万5233人(2010)。〔沿革〕 かつての日向国で,日本建国伝説の地とされ,2000を越える古墳が残り上代文化の一中心であったとみられる。大化改新のとき西都(さいと)市の地に日向国府・国分寺・国分尼寺が置かれた。平安時代には島津庄や宇佐神宮領など広大な荘園発達,のち島津氏が勢力を広げ,日向,大隅薩摩を支配した。近世には島津氏の鹿児島藩をはじめ,飫肥(おび),高鍋延岡,佐土原,人吉の諸藩が分割統治。1871年7県が置かれ,1873年宮崎県となった。1876年鹿児島県に合併されたが1883年分離。〔自然〕 北半部と西部は古生層からなる九州山地,南西部は霧島火山群,南部は鰐塚(わにつか)山地が占める山がちな地形で,霧島山東部に都城(みやこのじょう)盆地がある。山地を刻んで五ヶ瀬川耳川一ッ瀬川大淀川などが東流,下流沖積低地をつくり,その最大は宮崎平野である。海岸は単調だが,県北と県南に小屈曲がある。黒潮の影響もあり温暖多雨の太平洋岸式気候を呈し,南部海岸には亜熱帯植物も生育する。台風の被害が多い。〔産業〕 産業別人口構成は第1次12.7%,第2次22.8%,第3次63.6%(2005)で,第1次の比重が高い。農業粗生産額の50%以上を畜産が占め,特に養豚・養鶏が盛ん。米は早期栽培が普及。南部海岸地域では無霜に近いため,ピーマン,カボチャ,キュウリ,トマト,スイカなどの早期栽培が盛んで,北九州や阪神へ出荷。盆地や山地で茶,タバコ,宮崎平野から南部にかけては早生ミカンをはじめとした柑橘類が栽培され,霧島山麓では酪農が行われる。森林面積は全面積の76%を占め,国有林が比較的多く,造船用として有名な飫肥杉をはじめ用材を多産し,シイタケも全国的に有名。水産業は県北の沿岸・近海のイワシ・サバ・ブリ漁,県南のカツオ・マグロ漁業が主で,アジ,トビウオも漁獲,真珠・ハマチ養殖も行われるが,海岸線が単調なためあまり振るわない。鉱業では宮崎平野で天然ガスが開発され都市ガスに利用される程度。工業は延岡の化学,日南のパルプが大工場で量産を行うほか,近年は宮崎市周辺に電機・電子などのハイテクノロジー企業が進出している。中小工場による食品や木材工業もある。霧島錦江湾国立公園の霧島山,日南海岸国定公園の青島,鵜戸神宮,都井岬,祖母傾国定公園の高千穂峡,宮崎平野の西都原(さいとばる)古墳群など観光地が多く,高速交通網の整備に伴い,リゾート開発が進展する。〔交通〕 海岸沿いに通じる日豊本線と国道10号線が幹線で,南部に日南線,吉都(きっと)線,宮崎自動車道,東九州自動車道が通じる。九州山地は比較的不便であるが,バス交通の発達とともに椎葉,米良(めら)など隔絶地といわれた地も開けてきた。空路では宮崎空港があり,宮崎市からは長距離カーフェリーが就航。
→関連項目九州地方冷や汁

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