宮城[県](読み)みやぎ

百科事典マイペディア 「宮城[県]」の意味・わかりやすい解説

宮城[県]【みやぎ】

東北地方の太平洋に面する県。県庁所在地は仙台市。7282.22km2。234万8165人(2010)。〔沿革〕 古代の陸奥(むつ)国の一部で,1868年陸奥国分割の際の陸前と磐城北部の地にあたる。8世紀多賀城が構築され,陸奥国府・鎮守府所在地として平安前期まで政治の中心であった。平安後期から奥州藤原氏の勢力が強まったが,源頼朝の藤原氏討伐後は葛西(かさい)氏,戦国時代には大崎氏,伊達氏,相馬氏らが割拠,1600年以後仙台の伊達氏が統一,江戸期を通じ仙台藩58万石を支配。1871年仙台,角田登米(とめ)の3県を仙台県に統一,翌年宮城県と改称。〔自然〕 西境奥羽山脈南北に走り,これに並行して那須火山帯の栗駒,船形,蔵王の諸火山が並ぶ。北東部には北上高地南端,南部には阿武隈高地北端が位置し,その間に北上川鳴瀬川名取川阿武隈川など仙台湾に注ぐ諸河川と北上川の支流迫(はさま)川江合川がつくる沖積平野仙台平野)があり,松島丘陵,黒川丘陵によって北の仙北平野と南の仙南平野に分かれる。海岸線の北半は松島湾牡鹿半島気仙沼(けせんぬま)湾など屈曲に富むリアス海岸,南半は単調な砂浜海岸をなす。気候は東奥羽型気候区にあたり,冬季寒冷で雪は少ないが,夏季は高温多湿。〔産業〕 産業別人口構成は第1次6.2%,第2次23.5%,第3次69.1%(2005)で,第3次の比率は東北6県中第1位。農業は仙台平野の米作が中心で,仙北平野では藩政時代から沼沢地の干拓が行われ,古くからの米の大産地で,ササニシキ,ひとめぼれなどの良質米を多産する。県内各地で産する特産の仙台ハクサイのほか,丘陵でのナシ,モモ,仙台湾岸の砂丘でブドウ,イチゴの栽培,仙南平野で酪農が活発である。林業は不振。金華山沖の好漁場をひかえる全国屈指の漁業県で,塩竈,気仙沼をはじめ女川(おながわ),石巻,渡波(わたのは)など良港があり,サンマ,カツオ,マグロ,スケトウダラ,シラスなどを多く漁獲。松島湾,万石浦,気仙沼でのノリ・カキ養殖も盛ん。鉱業は鉛,亜鉛の細倉鉱山が1987年閉山。1978年東北自動車道の県内全通,1982年東北新幹線開通,1990年仙台空港への国際定期便の就航と高速交通体系の充実に伴って県の工業は大きく発展した。1964年仙台湾地区が新産業都市に,1986年には仙台北部が中核テクノポリスに指定された。製造品出荷額は3兆4300億円(2003)で,東北地方では福島県に次いでいる。水産加工を主とする食品や,電気機器,石油製品,紙・パルプ,製材・木製品製造などの工業が行われ,重工業は仙台,塩竈両市を含む仙台湾地区が臨海工業地帯を形成,鉄鋼・機械・繊維・電子工業が立地する。また東北各県と一体となって21世紀への未来型産業社会の創造を目指す,東北インテリジェント・コスモス構想が推進されている。栗駒山一帯は栗駒国定公園,蔵王山一帯は蔵王国定公園に属し,山麓に鳴子,鬼首(おにこうべ),作並(さくなみ),秋保(あきう),遠刈田(とおがった)など多くの温泉がわく。県北部の海岸は三陸復興国立公園に指定されている。金華山や松島の景勝,仙台の七夕祭も有名。〔交通〕 中部を南北に縦貫する東北本線・新幹線,東北自動車道,国道4号線が幹線をなしている。県南部の海岸に常磐線,北部の海岸に気仙沼線,中部を東西に仙山線,陸羽東線,仙石線,石巻線,山形自動車道が通じ,バス網も発達。名取,岩沼両市にまたがる仙台空港がある。 2011年3月,東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生,太平洋側を中心に県内各地で激しい揺れと巨大な津波により甚大な被害が出る。
→関連項目東北地方

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