室戸岬(読み)むろとざき

精選版 日本国語大辞典 「室戸岬」の意味・読み・例文・類語

むろと‐ざき【室戸岬】

四国・高知県東南端の岬。足摺岬と対して土佐湾を抱く。標高一〇〇メートルの海岸段丘と奇岩・乱礁を特色とし、亜熱帯植物が繁茂する景勝地で、室戸阿南海岸国定公園の一中心。日本の最強風地といわれる。むろとみさき

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デジタル大辞泉 「室戸岬」の意味・読み・例文・類語

むろと‐ざき【室戸岬】

高知県室戸市南端の太平洋に突出する岬。海岸段丘が発達。台風の通路にあたり、繁茂する亜熱帯植物が強風のため特有の樹形をなす。むろとみさき。

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日本歴史地名大系 「室戸岬」の解説

室戸岬
むろとみさき

高知県の南東端、太平洋に突出した岬で、古くは室戸崎・室生門崎・室戸ヶ崎などと記す。古代室津むろつ郷の岬の意であろう。空海の「三教指帰」に「阿国大滝嶽に躋り攀ぢ、土州室戸崎に勤念す」とあるのが初見で、早くから山岳宗教者の修行の場であったと思われる。空海は青年時代に岬先端の洞窟に籠って、虚空蔵求聞持法を修した(三教指帰)。「新勅撰集」に載る空海の歌に「土佐国室戸といふ所にて」と詞書して

<資料は省略されています>

とある。「今昔物語集」巻一一(弘法大師渡唐伝真言教帰来語)には「土佐ノ国ノ室生門崎ニシテ、求聞持ノ行ヲ観念スルニ、明星、口ニ入ル」とあり、「嚢鈔」は、この口中に飛入った明星を海に向かって吐出し、「其光水底ニ沈テ今ニアル」と記している。唐から帰国の後、嵯峨天皇勅願により岬の山上に最御崎ほつみさき寺を建立したと伝える。

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改訂新版 世界大百科事典 「室戸岬」の意味・わかりやすい解説

室戸岬 (むろとざき)

高知県南東端,太平洋に突出した岬。〈むろとみさき〉ともいう。西の足摺岬と相対して土佐湾を抱く。湾の東西両端は隆起傾向を示し,1946年の南海地震の際には岬先端で最大1.3m近く隆起があり,室戸岬やその西側の行当岬(ぎようどざき)には比高約100mの海岸段丘が発達する。乱礁の多い岬沖合は古来航海の難所で,また岬から南方に室戸海脚と呼ばれる大陸棚が延び,南東に位置する土佐礁とともに好漁場をなす。斑レイ岩や泥岩が海食を受けて豪壮な岩石景観をなしている。空海修行の地で,その著《三教指帰(さんごうしいき)》に〈土州室戸崎〉と記されている。唐より帰国ののち,岬の山上に807年(大同2)建立したと伝えるのが最御崎(ほつみさき)寺(四国八十八ヵ所24番札所)で,行当岬近くにある金剛頂寺(26番札所)を西寺(にしでら)とよぶのに対し東寺とよばれる。海食洞の御蔵(みくら)洞,一夜建立の岩屋など,付近には空海にかかわる伝承を伝えるものが多い。海岸から段丘斜面にかけてアコウウバメガシアオギリなどが群落をなし,室戸岬亜熱帯性樹林および海岸植物群落として,国の天然記念物に指定されている。台風の通路に位置するが,岬の突端には室戸岬灯台,室戸岬測候所があり,測候所のレーダーは半径300kmをカバーする。岬全体が国の名勝に指定され,室戸阿南海岸国定公園の中核をなす。岬をめぐって海沿いを国道55号線が通り,岬の尾根伝いに室戸スカイライン(1981年無料開放)が走る。
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百科事典マイペディア 「室戸岬」の意味・わかりやすい解説

室戸岬【むろとざき】

高知県室戸市南端の岬。斑レイ岩などからなる標高100〜120mに達する数段の海岸段丘で,激しい海食により奇岩,奇勝を形成,室戸阿南海岸国定公園の中心をなす景勝地。空海の《三教指帰》に〈室戸崎に勤念す〉とあるように,早くから山岳宗教者の修験の場であった。また南海に突出した地形から補陀落渡海の地ともされた。アコウなど亜熱帯性の樹林や植物群落(天然記念物),最御崎(ほつみさき)寺,灯台,測候所があり,高知市,徳島県側の牟岐駅からバスが通じる。暴風日数が多く,台風の通路に当たる。
→関連項目高知[県]土佐湾室戸[市]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「室戸岬」の意味・わかりやすい解説

室戸岬
むろとざき

「むろとみさき」ともいう。高知県室戸市南端、太平洋に突出する岬。国指定名勝。四国南東端にあたり、紀伊水道と土佐湾を分け、西の足摺(あしずり)岬と相対して土佐湾を抱く。斑糲(はんれい)岩などが海食を受け、海岸段丘や岩礁を発達させた隆起岩石海岸。台風の通過地として知られ、全国屈指の強風地でもあり、アコウ、アオギリ、ウバメガシ、トベラなどの亜熱帯・暖帯の植物群生(国指定天然記念物)が強風により特有な樹形をみせ、豪壮な波濤(はとう)景と組み合わされて特色ある景観を呈している。岬背後の海岸段丘面には四国八十八か所第24番札所最御崎(ほつみさき)寺、測候所、灯台があり、室戸スカイライン(県道203号室戸公園線)が通じる。国道55号が海岸沿いを走るほか、遊歩道が通じ、それに沿って空海ゆかりの観音窟(かんのんくつ)、行水の池や、中岡慎太郎像などがある。一帯は室戸阿南海岸国定公園域で、近世以降築港された漁港が多く、防風石垣や生け垣を巡らした民家もみられる。岬沖の土佐碆(ばえ)、白草(しらくさ)碆は好漁礁として知られる。

[大脇保彦]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「室戸岬」の意味・わかりやすい解説

室戸岬
むろとざき

高知県南東部,土佐湾の南東端にある岬。室戸市に属する。室戸阿南海岸国定公園の中心で名勝に指定 (1928) されている。太平洋に鋭角に突出した海岸段丘と無数の奇岩,岩礁が雄大な風景美を展開。断崖にはアコウ,ウバメガシ,アオギリ,タマシダなどの亜熱帯性植物が自生し,「室戸岬亜熱帯性樹林および海岸植物群落」として天然記念物に指定されている。台風の襲来頻度が高く,海岸段丘上に大型のレーダをもつ室戸測候所があるほか,室戸岬灯台,空海ゆかりの最御崎寺 (ほつみさきじ。四国八十八ヵ所第 24番札所) などがある。

室戸岬
むろとみさき

室戸岬」のページをご覧ください。

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事典 日本の地域遺産 「室戸岬」の解説

室戸岬

(高知県室戸市室戸岬町)
恋人の聖地プロジェクト」指定の地域遺産。

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事典・日本の観光資源 「室戸岬」の解説

室戸岬

(高知県室戸市)
日本八景〔東京日日新聞・大阪毎日新聞〕」指定の観光名所。

室戸岬

(高知県室戸市)
日本の渚・百選」指定の観光名所。

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