客戸(読み)きゃくこ

精選版 日本国語大辞典 「客戸」の意味・読み・例文・類語

きゃく‐こ【客戸】

〘名〙 中国、魏・晉から唐代にかけて、土着農民主戸)に対し、他郷に流亡してきたものの称。唐末から宋代には、戸籍上明確に主戸と客戸の区別を立て、土地を持たない小作人や雇傭人を客戸とした。

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普及版 字通 「客戸」の読み・字形・画数・意味

【客戸】きやくこ

移住した人。寄留者。〔唐書、食貨志一〕の括(あつ)むる、客十餘を得たり。

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改訂新版 世界大百科事典 「客戸」の意味・わかりやすい解説

客戸 (きゃくこ)
kè hù

無産・僑寓の戸。中国の魏・晋以来みられ,唐末には均田制再編成のため,逃亡均田農民を客戸として掌握したが,両税法の現住地課税主義により主戸にくみ込まれた。宋代になって戸籍上,客戸制が確立する。土地を所有しない点から主戸と区別される。したがって両税は負担しないが,身丁税を課された。客戸の多くは佃戸や雇用人であった。戸口統計上,全戸数の約3分の1を占めるが,その分布は地域,時代によって差がある。戸籍上の主客戸制は宋一代で消滅する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「客戸」の意味・わかりやすい解説

客戸
きゃくこ
ke-hu; k`o-hu

中国で土地をもたない小作人などを指す語。元来,土着者に対して寄留者を客という。漢,魏,六朝以後,土地を所有せず,豪族地主に隷属する者を客といい,唐代,均田制の崩壊以後は,土地所有者を土戸,主戸,正戸などと呼んだのに対して,小作人 (佃戸) や土地を所有しない商人や雇傭人などの戸を客戸と呼んだ。宋代には,戸口統計に主戸,客戸の区別が必ず現れている。佃客の語もあるが,客戸は大まかにいえば佃戸と考えてよい。元以後は,主客を区別した統計はあまりみられない。

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旺文社世界史事典 三訂版 「客戸」の解説

客戸
きゃくこ

中国で他郷に流浪している無産戸の戸籍上の取扱い
民戸を主戸と客戸に分け,主戸は本籍に住む有産者で税を負担し,客戸は土地を所有しないため税を負担せず,両税法の施行以前は戸籍から除外していた。六朝 (りくちよう) から唐まで客戸は地主に隷属していたが,両税法の施行以後,客戸は主家から独立して戸籍に載せられ,特に宋以後,荘園で佃戸 (でんこ) として小作に従事し,また雇用されて働いた。

客戸
かくこ

きゃくこ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「客戸」の意味・わかりやすい解説

客戸
きゃっこ

主戸・客戸

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世界大百科事典(旧版)内の客戸の言及

【宋】より

…その先駆は,宋代第一の名臣とうたわれた范仲淹の范氏義荘である。 農民は戸籍上,主戸と客戸とに分けられた。主戸は原則として土地財産を所有する者で,財産高によってさらに5等に分けられ,3年ごとに,主戸の資産と丁口の数目を記載し徴税や差役割当の基準とした,五等丁産簿が作成された。…

※「客戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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