実相(読み)じっそう

精選版 日本国語大辞典 「実相」の意味・読み・例文・類語

じっ‐そう ‥サウ【実相】

〘名〙
① (「真実の体相」の意) 仏語。一切のもののありのままの真実のすがた。生滅・無常を離れた、万物真相森羅万象(しんらばんしょう)、あらゆる現象の仮のすがたの奥にある真実の相。真如本体。一如。
往生要集(984‐985)大文四「微妙浄法身、具足諸相好。一々相好、即是実相。実相法界、具足無減」
※十善法語(1775)一〇「全く真如実相のよそほひなり」 〔法華経方便品
② 真実の状態。実際有様。〔日葡辞書(1603‐04)〕
侏儒言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉鼻「恋人と云ふものは滅多に実相を見るものではない」 〔張耒‐休日同宋遐叔詣法雲遇李公択黄魯直有作呈魯直遐叔詩〕

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デジタル大辞泉 「実相」の意味・読み・例文・類語

じっ‐そう〔‐サウ〕【実相】

実際のありさま。ありのままの姿。「社会実相
仏語。真実の本性。不変の理法。真如。法性ほっしょう
[類語]現実実際実地実情実態現状事実実在まことうつつ本当事情実況得体現実的実際的真実真相現に臨場感リアル有りのまま有りよう史実真正実の正真正銘紛れもない他ならない

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「実相」の意味・わかりやすい解説

実相
じっそう
tattvasya lakṣaṇam; bhūta-tathatā

仏教用語。あらゆるあり方の本性。真実の姿。ありのままの真実。漢訳「実相」に対応するサンスクリット原語は一様ではないが,いずれの場合も,単なる言葉で表現することのできない仏教の究極的な真実を示す。部派仏教に対し,特に大乗の立場からみた真実を強調する場合に用いられる。その内容は諸教学によって異なるが,究極の立場を示す点ではいずれも同じ。中国仏教の一頂点をなす天台宗の教学が,『法華経』中の「諸法実相」の思想によって展開されたものであることは特に有名。

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