ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「実用単位」の意味・わかりやすい解説
実用単位
じつようたんい
practical unit
第1は絶対単位の基準の具体的実現が困難なために,実現が容易な標準を設定して定義された単位で,国際実用温度,電磁気量の種々な国際単位,工学で用いられる重力単位,硬度の単位などがその例である。実用単位の大きさは,絶対単位の大きさが実用に対し過大または過小なときに,実用に便利な大きさに選ばれることが多い。たとえば固有の名称をもつ補助単位のトン,リットルなどがある。電磁気量の国際単位であるボルト,アンペア,オームなどは実現が容易な国際的に定められた標準によって定義され,それぞれ対応する CGS電磁単位の 108,10-1,109 倍の補助的な実用単位であったが,MKSA単位系の構成要素となり,さらに発展して国際単位系SIを構成するようになったものである。
第2の実用単位は,特定の分野で諸量を比較するのに都合がよい特別の意味をもつ基準量により定義された単位で,絶対単位に対し複雑な数値関係をもつ。原子物理学の電子ボルトや原子質量単位,放射線物理学のキュリーやレントゲン,天文学の天文単位やパーセク,気象学の気圧,航海・航空のノットやカイリなどはその例である。
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