定着液(読み)ていちゃくえき

精選版 日本国語大辞典 「定着液」の意味・読み・例文・類語

ていちゃく‐えき【定着液】

〘名〙
定着③に用いられる溶液。普通、チオ硫酸ナトリウムハイポ)を主剤とした水溶液が用いられる。
風俗画報‐二五三号(1902)人事門「右液を乾板に定着(ていちゃく)せしむ之は撮影済乾板の定着液を滌除(てきじょ)し」
② 美術で、木炭・コンテ・鉛筆・パステルなどで描いた絵の表面に吹きつけ、画面がこすれた際、画像が損なわれるのを防ぐための液。松脂・シェラックをアルコールで溶いたもので、木炭・パステルなどの粒子を画面に定着させる働きをもつ。フィクサティーフ。

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デジタル大辞泉 「定着液」の意味・読み・例文・類語

ていちゃく‐えき【定着液】

写真の定着に用いる液。ハイポチオ硫酸ナトリウム)の水溶液など。

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百科事典マイペディア 「定着液」の意味・わかりやすい解説

定着液【ていちゃくえき】

写真の定着を行うための薬液チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)の20〜25%水溶液が主体。一般にはこれに現像液混入による汚染を防ぐための薬剤として無水亜硫酸ナトリウムや酢酸,ゼラチン膜の膨潤軟化を防ぐためにカリミョウバンホウ酸などを加えた酸性硬膜定着液が用いられる。チオ硫酸ナトリウムは還元銀にはほとんど作用せず,ハロゲン化銀のみをよく溶解する。迅速定着にはチオ硫酸アンモニウム水溶液,湿板写真ではシアン化カリウム水溶液が使われる。

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世界大百科事典(旧版)内の定着液の言及

【定着】より

…このため現像後に残存するハロゲン化銀を水溶性銀塩に転換し,水洗してフィルムから除去する必要がある。このハロゲン化銀を可溶性銀塩に転換する処理が定着で,定着処理に使う処理液を定着液という。
[定着液]
 写真フィルム中のハロゲン化銀を水溶性銀塩に転換する定着剤として,チオ硫酸ナトリウム(ハイポhypo)およびチオ硫酸アンモニウムが広く使われる。…

※「定着液」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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