定火消(読み)じょうびけし

精選版 日本国語大辞典 「定火消」の意味・読み・例文・類語

じょう‐びけし ヂャウ‥【定火消】

〘名〙 江戸幕府職名一つ江戸市中消防のことをつかさどったもの。大名火消町火消と異なり、幕府直属の火消隊。万治元年(一六五八)四組設置。若年寄支配に属する。宝永元年(一七〇四)一〇組となり、これが永制となったため十人火消ともいい、また寄合火消ともいう。火消番。火消役。〔残集柳営秘鑑(江戸後か)〕

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百科事典マイペディア 「定火消」の意味・わかりやすい解説

定火消【じょうびけし】

江戸幕府の職名。火消の一つ。明暦の大火後の1658年に従来大名火消ほかに設けられ,江戸市中の消防と非常警備を行った。初め4組で,一時15組となったが,1704年以後10組の組織が確立し〈十人火消〉といわれた。若年寄配下で,定火消御役には3000石以上の寄合旗本が任命され,各組には与力6騎・同心30人が属し,ほかに臥煙(がえん)という300人の火消人足がいた。
→関連項目町火消

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定火消」の意味・わかりやすい解説

定火消
じょうびけし

定火消役ともいう。江戸幕府の職名。江戸市内の防火,警備を司り,若年寄の支配下にあった。役料 300人扶持,与力6騎,同心 30人を配下においた。万治1 (1658) 年,初めて4組をおき,元禄8 (95) 年には 15組にふえ,宝永1 (1704) 年には 10組に減じた。大名火消,ことに町火消整備に伴い,その後漸次活気を失い,寛政4 (92) 年以降は出動も限られ,消火範囲も小さくなった。安政6 (1859) 年には8組に,慶応2 (66) 年には4組となった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「定火消」の解説

定火消
じょうひけし

江戸の防火にあたる江戸幕府の職制。役料300人扶持。若年寄支配に属し,寄合が任じられた。明暦大火の翌1658年(万治元)の創設当初は4人,1704年(宝永元)以降は10人。火消屋敷と与力6人・同心30人を与えられ,また実際の消火にあたる臥烟(がえん)を雇用し,1隊を形成した。火消屋敷は冬の季節風にそなえて江戸城の北西部におかれた。当初は市中を対象としたが,のち町火消の成長によって出動範囲が郭内に限定された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「定火消」の意味・わかりやすい解説

定火消
じょうびけし

火消

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世界大百科事典(旧版)内の定火消の言及

【火消】より

…これを各自火消といい,三町火消,近所火消ともよんだ。
[定火消]
 明暦の大火により大名火消程度では対応できないことを痛感した幕府は,その翌年の1658年(万治1)定火消を創設した。4名の旗本に火消屋敷を与え,火消人足を抱えるための役料三百人扶持を給し,与力6名,同心30名をそれぞれ付属させた。…

※「定火消」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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