定温動物(読み)ていおんどうぶつ(英語表記)homeotherms

精選版 日本国語大辞典 「定温動物」の意味・読み・例文・類語

ていおん‐どうぶつ テイヲン‥【定温動物】

〘名〙 体温がほぼ一定で、外界温度変化の影響を受けない動物。一般に外界の温度より高い体温をもつ。哺乳類鳥類などでみられる。毛や羽毛によって体温の放散を防ぎさらに一定の温度を保つ。恒温動物温血動物。等温動物。
※新住居入門(1963)〈清水一一二人間は体温およそ三六・五度をいつも保つ定温動物である」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「定温動物」の意味・読み・例文・類語

ていおん‐どうぶつ〔テイヲン‐〕【定温動物】

恒温動物こうおんどうぶつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「定温動物」の意味・わかりやすい解説

定温動物 (ていおんどうぶつ)
homeotherms

恒温動物とも,また俗に温血動物ともいう。変温動物対語体温を一定に保つような調節機構をそなえた動物で,鳥類と哺乳類をさす。体温を一定に維持するということは細胞の活動を正常に保てるということになり,変温動物が体温低下によって活動できないような寒冷環境下でも,代謝のレベルを正常に保ち,活発に運動することができる。一般に体温は外温より高いので熱は外界に逃げることになるから,体温を維持するためには,効率のよい産熱機構とともにその熱を外に逃がさないように体表に保温層を備えることが必要である。鳥類の羽毛,哺乳類の毛はともに大きな断熱効果をもっている上に,立毛筋のはたらきで保温空気層の厚さを変えて放熱量を調節することができる。皮下脂肪もすぐれた断熱組織であって,海産の哺乳類ではとくにこれが発達している。外温の変化にかかわらず一定の体温を維持できる能力,すなわち,内部環境の恒常性の獲得によって,鳥類や哺乳類はその分布域を遠く寒冷地域にまで広げることに成功した。

 定温性の程度は動物の種によって異なる。一般に下等な哺乳類(カモノハシアルマジロ,ナマケモノなど)の体温は低く,外温に従って変動する幅も大きい(異温性)。寒冷地にすむ小型哺乳類,たとえば,リス,コウモリなどは冬眠する。これは寒冷と食物不足にたいする適応である。体温維持のためのエネルギー消費は体の小さい動物ほど大きい。寒冷下では体で発生する全エネルギーの80~90%に及ぶといわれる。このような動物は食物の乏しい冬季には体温の維持が困難となり,一時的に体温を下げ(低体温),活動をやめて生きのびるのである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「定温動物」の意味・わかりやすい解説

定温動物【ていおんどうぶつ】

恒温動物,温血動物とも。外気温や活動に無関係に体温を一定に保持する動物のことで,鳥類・哺乳(ほにゅう)類の2綱のみが入る。体は筋活動を主要な熱源として加温され,呼吸器や体表からの放熱により冷却されるが,温度受容器や神経系・ホルモン系からなる温度調節機構が自動調節に当たっている。ただし,極端な寒さや食物不足の際には体温の維持が困難になるため冬眠するものもある。近年絶滅した恐竜が温血であったという説が出されているが確証はない。→変温動物
→関連項目体温

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定温動物」の意味・わかりやすい解説

定温動物
ていおんどうぶつ
homeotherm; homeothermic animal

環境の温度変化にもかかわらずかなり高い一定の体温 (36~42℃) を保つ動物群をいう。日常的には古来の温血動物 warm-blooded animalという語がよく用いられ,恒温動物ともいう。鳥類,哺乳類がこれにあたる (→変温動物 ) 。体温産出のおもな機構は代謝の活発化であり,体温放散は主として発汗や,呼気中への水蒸気放散により行われる。体温を保つため,皮下脂肪などを有し,体表は羽毛または毛でおおわれている (ヒトは例外) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「定温動物」の意味・わかりやすい解説

定温動物
ていおんどうぶつ

恒温動物

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の定温動物の言及

【温度適応】より

…これらは行動的温度順応である。
[定温動物の温度適応]
 鳥類と哺乳類には体温調節の機能が備わっており,外温の変化にかかわらず体温をほぼ一定に保って活動を続けることができる。この定温性を獲得することによって,陸生の脊椎動物はその分布範囲を寒冷地域にまで広げるようになった。…

【体温】より

…鳥類と哺乳類の体温は,環境の温度が変化しても,一定の範囲内に保たれている。このような動物を定(恒)温動物という。鳥類,哺乳類以外の動物はすべて変温動物であって,体温は外温に従って変動する。…

【変温動物】より

定温動物の対語。体温が環境の温度とともに変化することからこの名がついた。…

※「定温動物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android